テント切痕ヘルニア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/27 03:59 UTC 版)
テント切痕ヘルニア transtentorial herniation には、鉤ヘルニア と中心性ヘルニアがある。 鉤ヘルニア; 脳腫瘍、脳出血などでテント上腔の圧が亢進し、側頭葉内側部(鉤回・海馬回)がテント切痕を越えて下方に嵌入した状態である。この際、脳幹(特に中脳、他に動眼神経、後大脳動脈など)が圧迫障害される。この機転が進行すると脳幹に二次的に虚血・浮腫・出血が生じる。症状として、意識障害の進行、患側もしくは対側の瞳孔散大、動眼神経麻痺、片麻痺、病的反射が現れる。さらに除脳硬直が起こり、脳幹機能が麻痺すると自発呼吸は消失する。 中心性ヘルニア; 鈎ヘルニアと同様に,テント上病変により脳幹(中脳)が垂直方向に移動して障害される。意識障害,呼吸異常,縮瞳,除脳硬直などがみられる。 このうち「片麻痺がテント上病変と同側に出現する症例」では、圧迫を受けて偏位した対側大脳脚がテント切痕で障害を受けており、この際の圧痕をカーノハン切痕 Kernohan's notch という。テント切痕ヘルニアの症状が現れたら、迅速に原病巣の除去(腫瘍、血腫の摘出)や減圧処置を行なう。除脳硬直に達すると死に至るか、回復不可能な症状を残す。 他方、テント下腔の圧が亢進し、小脳の一部が押し上げられてテント切痕に嵌入する場合を上行性テント切痕ヘルニア(upward transtentorial h.)という。
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