チェルシー‐ブーツとは? わかりやすく解説

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チェルシー‐ブーツ【Chelsea boots】

読み方:ちぇるしーぶーつ

チェルシー英国地名ヒールがやや高くサイドゴア(襠(まち))が付きジッパー留めになっているくるぶしぐらいの長さブーツ初期ビートルズが履いていた。


チェルシーブーツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/29 14:05 UTC 版)

黒い子牛皮を使ったチェルシーブーツ。

チェルシーブーツ英語: Chelsea boots)は、両側面に伸縮性のある素材を用いたまち(襠)英語版が付けられた、ぴったりとフィットし、足首の高さまで入るブーツ。ブーツの後ろの部分には、ループないしタブ状の部分があり、そこを引っ張ってブーツを履けるようになっている。このブーツは、ヴィクトリア朝に遡る歴史があり、当時は男女を問わず履くものであった。

チェルシーブーツや、その変種は、1960年代イギリスで、特にモッズ・シーンにおいて、象徴的なファッションの要素とされていた。

歴史

茶色いスエードを使ったチェルシーブーツ。

このデザインを生み出したとされているのは、ヴィクトリア女王製靴職人であったジョゼフ・スパークル・ホール (Joseph Sparkes Hall) とされている[1]。彼は、「彼女(ヴィクトリア女王)は毎日これを履いていたが、これは、この発明に彼女が価値を見出したことを最も強力に証明するものだった (She (Queen Victoria) walks in them daily and thus gives the strongest proof of the value she attaches to the invention)」と述べている[2]。このブーツは、「J・スパークル・ホールの特許取得伸縮性足首ブーツ (J. Sparkes Hall's Patent Elastic Ankle Boots)」というブランドで広告されていた[3]。このブーツは、乗馬ウォーキング用として人気を博した[2]。「チェルシーブーツ (chelsea boot)」という用語は、ヴィクトリア朝の始まりよりさらに数年前に登場しており、ロンドンの製靴職人であったトーマス・コットン (Thomas Cotton) が1831年にはこの言葉を使っていた[4][5][6][7]

チャールズ・グッドイヤーゴムの加硫を開発したことで、伸縮性のあるまちがついたブーツの発明が可能になった。伸縮性のあるブートの利点は、すぐに脱着ができるところにあった。1840年代後半には、このブーツはファッションとして流行し、西洋では第一次世界大戦が始まるころまで主流のスタイルであり続けた[8]

1950年代から1960年代にかけて、チェルシーブーツはイギリスで人気が吹き返し、スウィングイング・ロンドン英語版の社会的な場であった、流行の先端をゆくキングズ・ロード(ロンドンの中心部西部のチェルシーからフラムにかけての街路)と結びついて、ローリング・ストーンズからジーン・シュリンプトン英語版に至る誰もがこれを履き、「チェルシー」がこのブーツを指す呼称となった[2][3]

変種や類似したスタイル

ビートルブーツ

ビートルズは、チェルシーブーツの人気に一役買った。1963年撮影。

舞台劇や、バレエ用の靴を作っていたアネーロ&ダヴィデ英語版は、1961年に、「キューバン・ヒール (Cuban heels)」と称する、踵が高く、つま先の尖った靴を、ビートルズのために作ったが、これはジョン・レノンポール・マッカートニーが店舗のショーウィンドウに飾ってあったチェルシーブーツを見て、もっと踵が高い、キューバン・ヒールのものを4足注文したのを受けてのことで、このスタイルはビートルブーツ英語版と呼ばれるようになった[9]

ビートルブーツは、チェルシーブーツと同様に、モッズに多用され、仕立てられたスーツと一緒に纏われた[3]

ワークブーツ

オーストラリアン・ワークブーツは、チェルシーブーツの変種である。

ワークブーツ類として用いられる変種には、インドに由来するジョッパーブーツと呼ばれる乗馬ブーツ英語版や、ブランドストーン英語版などが製造しているオーストラリアン・ワークブーツ英語版などがある。こうしたワークブーツは、つま先が鋼鉄で保護されていることもある。ブラジルでは、そのようなブーツを、「ボティーナ (botina)」という。こうしたブーツは、しばしばいかつく、実用本意のデザインで、オーストラリアン・ワークブーツに似ており、しばしばカイピラ英語版や、広く田舎住まいの人々と結びつけられる[10][11][12]

脚注

  1. ^ staff (27 November 2012). “The perfect Chelsea boot”. Esquire. オリジナルの14 July 2014時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140714171713/http://www.esquire.co.uk/style/shoes/207/object-of-desire-the-perfect-chelsea-boot/ 13 July 2014閲覧。 
  2. ^ a b c staff (2 March 2011). “The Edit: Chelsea Boots”. Mr Porter. オリジナルのJune 28, 2013時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130628232837/http://www.mrporter.com/journal/journal_issue2/5 13 July 2014閲覧。 
  3. ^ a b c The Chelsea Boots Guide”. gentlemansgazette.com. Gentleman's Gazette. 13 July 2014閲覧。
  4. ^ “Gazette, November 29” (英語). Liverpool Mercury (Lancashire): pp. 7. (2 Dec 1831). https://www.newspapers.com/image/390533262 3 Jun 2023閲覧。 
  5. ^ “BANKRUPTS” (英語). Cobbett's Weekly Political Register (London): pp. 637. (3 Dec 1831). https://www.newspapers.com/image/388157009 3 Jun 2023閲覧。 
  6. ^ “TUESDAY's LONDON GAZETTE - BANKRUPTS” (英語). The Cheltenham Chronicle and Gloucestershire Advertiser (Cheltenham): pp. 3. (1 Dec 1831). https://www.newspapers.com/image/785835744 3 Jun 2023閲覧。 
  7. ^ “BANKRUPTS, Nov. 29” (英語). The Newcastle Weekly Courant (Newcastle): pp. 2. (10 Dec 1831). https://www.newspapers.com/image/392602310 3 Jun 2023閲覧。 
  8. ^ Kippen, Cameron. “The History of Boots”. Department of Podiatry. Perth, Western Australia: Curtin University. 2007年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年9月21日閲覧。
  9. ^ Bramwell, Tony (2004). Magical Mystery Tours: My Life with the Beatles. Robson. p. 34. ISBN 0-312-33043-X 
  10. ^ Norogrando, Rafaela (2019-01-08) (ポルトガル語). Moda, música & sentimento. Editora Estação Das Letras e Cores. ISBN 978-85-68552-43-8. https://books.google.com/books?id=VsqCDwAAQBAJ 
  11. ^ (ポルトガル語) Placar Magazine. Editora Abril. (March 1996). pp. 42. https://books.google.com/books?id=d_NI-tX_IYsC&pg=PA42 
  12. ^ Curiosidades do Campo: veja como as botas do homem do campo são fabricadas” (ポルトガル語). Canal Rural (2013年7月19日). 2022年1月1日閲覧。

関連項目

外部リンク



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