ダイオキシン様PCB・コプラナーPCB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:15 UTC 版)
「ポリ塩化ビフェニル」の記事における「ダイオキシン様PCB・コプラナーPCB」の解説
WHOによるダイオキシン様PCBの毒性種類名称IUPACNo.TEFPCDD2,3,7,8-テトラクロロパラジオキシン(参考) 1 PCDF2,3,4,7,8-ペンタクロロジベンゾフラン(参考) 0.3 ノンオルト置換(コプラナー)PCB3,3',4,4'-テトラクロロビフェニル 077 0.0001 3,4,4',5-テトラクロロビフェニル 081 0.0003 3,3',4,4',5-ペンタクロロビフェニル 126 0.1 3,3',4,4',5,5'-ヘキサクロロビフェニル 169 0.03 モノオルト置換PCB2,3,3',4,4'-ペンタクロロビフェニル 105 0.00003 2,3,4,4',5-ペンタクロロビフェニル 114 0.00003 2,3',4,4',5-ペンタクロロビフェニル 118 0.00003 2',3,4,4',5-ペンタクロロビフェニル 123 0.00003 2,3,3',4,4',5-ヘキサクロロビフェニル 156 0.00003 2,3,3',4,4',5'-ヘキサクロロビフェニル 157 0.00003 2,3,4,4',5,5'-ヘキサクロロビフェニル 167 0.00003 2,3,3',4,4',5,5'-ヘプタクロロビフェニル 189 0.00003 PCBの毒性の強さは、異性体により大きな差がある。右図は世界保健機関(WHO)による毒性評価をまとめたものである。「TEF」とは毒性等価係数といい、最も毒性が強いとされるダイオキシン類PCDD(厳密にはTCDD)を「1」とした場合の各異性体の相対的毒性評価である。 PCBの毒性のうち発癌性、催奇性はダイオキシン類(ポリクロロジベンゾジオキシン、ポリクロロジベンゾフラン)に似ている。そのため、それらを示すPCBをダイオキシン様PCB (dioxin-like PCB, DL-PCB) と呼びダイオキシン類に加える。世界保健機構 (WHO) により、12種の異性体がDL-PCBに指定されている(毒性の強弱は数桁の差がある)。 非ダイオキシン様PCBも、甲状腺異常などPCB特有の非ダイオキシン様毒性は示す。しかし、PCBの健康被害や環境汚染で問題となっているのは、大半がダイオキシン様PCBである。 ダイオキシン様毒性が特に強いのが、コプラナーPCB (coplanar-PCB, Co-PCB) である。ビフェニルの2つのベンゼン環は回転可能だが、PCBのビフェニル構造は、置換する塩素の位置によっては共平面構造(コプラナリティ)を取る。このようなPCBがコプラナーPCBである。なお、コプラナーでないPCBはノンプラナーPCB (nonplanar PCB) である。 PCBはオルト位 (2,2',6,6') の塩素の数で、ノンオルト置換PCB(0個)、モノオルト置換PCB(1個)、ジオルト置換PCB(2個)、… と分類するが、厳密には、ノンオルト置換PCBがコプラナーPCBとされる。オルト位の塩素は共平面構造を妨げるからである。ただし、ダイオキシン様PCB全てをコプラナーPCBと呼ぶこともある。ダイオキシン様PCBにはノンオルト置換PCBとモノオルト置換PCBが含まれる。
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