スタップ アプローチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 17:05 UTC 版)
ヘンリー・スタップは、量子波動は意識と相互干渉したときにだけ収縮することを提唱した。彼は、ジョン・フォン・ノイマンの正統派量子力学の立場から、観察者が将来に起こす行動の根拠として、いくつもの量子の可能性の中からたった1つを選択するときに、量子状態が収縮すると主張する。それゆえ、収縮は、観測者がその状態に結びついた予測において起こるのである。スタップの研究はDavid BourgetやDanko Georgievといった科学者から批判を受けた。Georgievはスタップのモデルを二つの点から批判している。 スタップの仮説における心は、それ自身の波動関数や密度行列を持たないにもかかわらず、射影演算子を用いて脳に作用することができる。このような扱い方は標準的な量子力学とは相容れない。なぜなら、空間内の任意の点に任意の数の幽霊のような心を配置することができ、その幽霊のような心が任意の射影演算子を使って物理的な量子システムに作用することができるからである。スタップのモデルは、それゆえ、「有力な物理学の原理」を否定している。 量子ゼノン効果が外部環境的なデコヒーレンスに強いというスタップの主張は、量子情報理論の基本定理である「量子系の密度行列に射影演算子を作用させると、その系のフォン・ノイマンエントロピーが増大するだけ」ということと真っ向から矛盾している。 スタップはGeorgievの二つの反論の両方に返答している。
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