ショウジョウバエの翅パターンの進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 02:31 UTC 版)
「エンハンサー」の記事における「ショウジョウバエの翅パターンの進化」の解説
色素沈着のパターンは、異なる動物種の間で最も顕著で容易に評価できる差異の1つである。ショウジョウバエの翅の色素沈着は、色素沈着の複雑な表現型の発生の研究に特に適したシステムであることが示されている。ミズタマショウジョウバエ(英語版)Drosophila guttiferaの翅には、12個の暗いvein-associated spot(翅脈と結合した色素斑)と4個のより明るい灰色のintervein shade(翅脈間のパッチ)が存在する。このspotは黒いメラニンを産生する遺伝子産物をコードするyellow遺伝子の発現によって形成される。近年の研究では、yellow遺伝子の2つのエンハンサーが正確にこのパターンの遺伝子発現を引き起こすことが明らかにされた。すなわち、vein spotエンハンサーは12個のspotでレポーター遺伝子の発現を駆動し、もう1つのintervein shadeエンハンサーは4か所のshadeで発現を駆動した。色素沈着が生じたすべての場所でwinglessが発現しており、winglessによってこれら2つのエンハンサーは活性化されていた。複雑な色素沈着の表現型の進化において、yellow色素遺伝子はWinglessシグナルに反応するエンハンサーを進化させ、winglessは新たな場所での発現を進化させることで、新たな翅のパターンが生み出されていた。
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