シュワルツシルト解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 09:31 UTC 版)
ワイルポテンシャルは、式(8)を次のように与えればシュワルツシルト計量を生成する。 ψ S S = 1 2 ln L − M L + M , γ S S = 1 2 ln L 2 − M 2 l + l − {\displaystyle \psi _{SS}={\frac {1}{2}}\ln {\frac {L-M}{L+M}}\,,\quad \gamma _{SS}={\frac {1}{2}}\ln {\frac {L^{2}-M^{2}}{l_{+}l_{-}}}} (12) ここで、次のようにおく。 L = 1 2 ( l + + l − ) , l + = ρ 2 + ( z + M ) 2 , l − = ρ 2 + ( z − M ) 2 {\displaystyle L={\frac {1}{2}}{\big (}l_{+}+l_{-}{\big )}\,,\quad l_{+}={\sqrt {\rho ^{2}+(z+M)^{2}}}\,,\quad l_{-}={\sqrt {\rho ^{2}+(z-M)^{2}}}} (13) ニュートン力学における相当物の観点から、 ψSS は質量 M および長さ 2M の棒を z-軸上に対称に置いたときに生成される重力ポテンシャルに等しい。すなわち、一様質量線密度 σ = 1/2 を区間 z ∈ [ − M , M ] {\displaystyle z\in [-M,M]} においた場合に等しい(この類推に基いて、出典で議論されるようにシュワルツシルト解の重要な拡張が開発されている)。 ψSS と γSS が与えられれば、ワイル計量の形式(1)は次のようになる。 d s 2 = − L − M L + M d t 2 + ( L + M ) 2 l + l − ( d ρ 2 + d z 2 ) + L + M L − M ρ 2 d ϕ 2 {\displaystyle \mathrm {d} s^{2}=-{\frac {L-M}{L+M}}\mathrm {d} t^{2}+{\frac {(L+M)^{2}}{l_{+}l_{-}}}(\mathrm {d} \rho ^{2}+\mathrm {d} z^{2})+{\frac {L+M}{L-M}}\,\rho ^{2}\mathrm {d} \phi ^{2}} (14) そして、次の相互に無矛盾な関係式を代入すると、 L + M = r , l + − l − = 2 M cos θ , z = ( r − M ) cos θ , {\displaystyle L+M=r\,,\quad l_{+}-l_{-}=2M\cos \theta \,,\quad z=(r-M)\cos \theta \,,} ρ = r 2 − 2 M r sin θ , l + l − = ( r − M ) 2 − M 2 cos 2 θ {\displaystyle \;\;\quad \rho ={\sqrt {r^{2}-2Mr}}\,\sin \theta \,,\quad l_{+}l_{-}=(r-M)^{2}-M^{2}\cos ^{2}\theta } (15) 次の、通常の球面座標系 {t, r, θ, φ} を用いた一般的な形式のシュワルツシルト計量が得られる。 d s 2 = − ( 1 − 2 M r ) d t 2 + ( 1 − 2 M r ) − 1 d r 2 + r 2 d θ 2 + r 2 sin 2 θ d ϕ 2 {\displaystyle \mathrm {d} s^{2}=-{\Big (}1-{\frac {2M}{r}}{\Big )}\,\mathrm {d} t^{2}+{\Big (}1-{\frac {2M}{r}}{\Big )}^{-1}\mathrm {d} r^{2}+r^{2}\mathrm {d} \theta ^{2}+r^{2}\sin ^{2}\theta \,\mathrm {d} \phi ^{2}} (16) 式(14)の形式の計量は、標準的な円筒・球面変換 (t, ρ, z, φ) = (t, rsinθ, rcosθ, φ) により直接式(16)に変換することはできない。なぜなら、 {t, r, θ, φ} は完全である一方 {t, ρ, z, φ} は不完全だからである。これが、式(1)において {t, ρ, z, φ} を円筒座標系ではなくワイルの正準座標と呼んだ理由である。しかし、これら二つの座標系の間には多くの共通点がある。たとえば、式(7)に表われるラプラシアン ∇ 2 := ∂ ρ ρ + 1 ρ ∂ ρ + ∂ z z {\displaystyle \nabla ^{2}:=\partial _{\rho \rho }+{\frac {1}{\rho }}\partial _{\rho }+\partial _{zz}} は円筒座標系における二次元幾何ラプラシアンに一致している。
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