シュレディンガー作用素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:55 UTC 版)
「量子力学の数学的定式化」の記事における「シュレディンガー作用素」の解説
量子力学では時刻tに依存するかもしれないポテンシャルと呼ばれる実数値局所可積分関数V(x,t)を固定し、シュレディンガー作用素と呼ばれる作用素 H = − ∑ j = 1 n ℏ 2 m j ( ∂ 2 ∂ x j , 1 2 + ⋅ + ∂ 2 ∂ x j , ℓ 2 ) + V ( x , t ) {\displaystyle H=-\sum _{j=1}^{n}{\hbar \over 2m_{j}}\left({\partial ^{2} \over \partial x_{j,1}{}^{2}}+\cdot +{\partial ^{2} \over \partial x_{j,\ell }{}^{2}}\right)+V(x,t)} を考える。ここでmjは何らかの定数で、物理的にはj番目の粒子の質量を表す。またlは次元であり、物理学的なセッティングでは3である。各時刻tに対しシュレディンガー作用素は常に対称作用素であるが新井(p227)、本質的に自己共役であるか否かはポテンシャルによる。 定理 (時間非依存かつ一粒子のシュレディンガー作用素の自己共役性) ― 時間非依存かつ一粒子のシュレディンガー作用素 H = − ℏ 2 m ( ∂ 2 ∂ x 1 2 + ⋯ + ∂ 2 ∂ x ℓ 2 ) + V ( x ) {\displaystyle H=-{\hbar \over 2m}\left({\partial ^{2} \over \partial x_{1}{}^{2}}+\cdots +{\partial ^{2} \over \partial x_{\ell }{}^{2}}\right)+V(x)} に関しては、以下の条件をみたすときには本質的に自己共役であるP01(p82): V ( x ) > − Q ( | x | ) {\displaystyle V(x)>-Q(|x|)} を満たす非負かつ非減少な連続関数Q(r)で ∫ 0 ∞ d r Q ( 2 r ) = ∞ {\displaystyle \int _{0}^{\infty }{\mathrm {d} r \over {\sqrt {Q(2r)}}}=\infty } となるものが存在する。 また時間非依存かつ一粒子のハミルトニアンが以下の条件を場合もハミルトニアンは本質的に自己共役であるP01(p88)H13(p192): V ( x ) ∈ L p ( R ℓ ) + L ∞ ( R ℓ ) {\displaystyle V(x)\in L^{p}(\mathbb {R} ^{\ell })+L^{\infty }(\mathbb {R} ^{\ell })} で、しかも { p = 2 if ℓ ≤ 3 p > 2 if ℓ = 4 p > n / 2 if ℓ ≥ 5 {\displaystyle {\begin{cases}p=2&{\text{if }}\ell \leq 3\\p>2&{\text{if }}\ell =4\\p>n/2&{\text{if }}\ell \geq 5\end{cases}}} ここで L p ( R ℓ ) + L ∞ ( R ℓ ) {\displaystyle L^{p}(\mathbb {R} ^{\ell })+L^{\infty }(\mathbb {R} ^{\ell })} は L p ( R ℓ ) {\displaystyle L^{p}(\mathbb {R} ^{\ell })} の元と L ∞ ( R ℓ ) {\displaystyle L^{\infty }(\mathbb {R} ^{\ell })} の元の和で書ける関数の集合である。
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