シジミチョウ科
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 20:31 UTC 版)
シジミチョウ科の尾状突起にかんしては、一部の種において眼状紋をともなう尾状突起とその周辺部位が頭部によく似て見えることから、それらが視覚的な「false head(偽の頭)」として捕食回避のために機能しているとする説がよく知られている。この「偽の頭」が実際にどのようなメカニズムで機能しているのかにかんしても議論があり、中でも Robbins (1981) によって示された「チョウの頭部を狙って攻撃する捕食者に対して、尾状突起を頭部と誤認させることで身を守る」という「deflection(反らし)効果」仮説が有力視されているが、実証研究の例はすくない。近年の研究として、Bartos & Minias (2016) はスクリーンに投影された仮想的な獲物をハエトリグモの一種 Yllenus arenarius に襲わせる実験を行い、ハエトリグモが通常は獲物の頭部を積極的に攻撃するが、偽の頭を後端に追加した場合はそちらに誘導されるようになることを実験的に確かめた。一方で López-Palafox & Cordero (2017) は、Callophrys xami の尾状突起を保持した群と除去した群をそれぞれカマキリの一種 Stagmomantis limbata に襲わせる実験を行い、両群間でチョウの生存率に有意差が見られなかったことを示している。シジミチョウ科の中には頭部とそれほど似て見えない尾状突起を有する種も知られており、尾状突起を介した本科の捕食回避には複雑な要因が関与している可能性が指摘されている。
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