コビトホラシノブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/11 22:33 UTC 版)
コビトホラシノブ | |||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||
絶滅危惧IA類 (CR)(環境省レッドリスト)
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Odontosoria minutula (Sa.Kurata) Ebihara | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
Sphenomeris minutula Sa.Kurata |
コビトホラシノブ(Odontosoria minutula)はシダ植物門ホングウシダ科ホラシノブ属の常緑性多年草。
日本で見つかっているホラシノブ属のシダ植物の中で最小種。
概要
山地森林中の渓流沿いの岩の上にコケとともに生育する渓流植物である[2]。
1964年、鹿児島大学林学教室の佐藤三千代が、鹿児島県奄美大島の住用川上流で発見し[3][2]、 東京大学農学部森林植物学教室の倉田悟によって、コビトホラシノブと名付けられた[2]。
和名は、小さな葉が群生する様子が手のひらを広げて踊る森の小人を連想させることから[3]。
奄美大島固有種とされていたが[4][5]、南西諸島の他の島で発見されたという報告もある[6]。
特徴
根茎は茶褐色で、長さ1mm前後の鱗片をまとい、太さは直径1mmほどで、横に匍匐して伸び、そこから少し間隔をあけて葉柄が伸びる[7]。
野生種の葉柄は長さ5-10mm、葉柄の先に2-3cmの卵形または長楕円形の葉身がつき、2回または3回羽状で、2-4対の小羽片を持つ[8]。
一方、栽培種の葉は長さ3-14cmまで大きく育ち、狭い三角楕円形または細長い長楕円形で、4-10対の小羽片を持つ。栽培された完全に稔性の葉では、葉身は基部で3回羽状である[8]。
他のホラシノブ属と異なる特徴の1つは、斜扇形に深く切れ込んだ小羽片と狭い楔形の裂片であり、これらは野生種・栽培種に共通の特徴である[8][5]。
保護
生息地が限られ、気候変動による生息環境の変化により[9]、野生種の絶滅が危惧されるため、 IUCNと環境省の両方のレッドリストで、絶滅危惧IA類(CR)に分類されている[1][10]。
鹿児島県のレッドデータでは、絶滅危惧1類:絶滅の危機に瀕している種[11]に分類されている。
出典
- ^ a b “コビトホラシノブ”. 環境省第5次絶滅危惧種検索. 2025年4月7日閲覧。
- ^ a b c 中池敏之 (1982). 新日本植物誌シダ篇. 至文堂. p. 222
- ^ a b 倉田悟 (1965-03-15). “シダ類ノート (36)”. 北陸の植物 (北陸の植物の会) 13 (4): 98-101. ISSN 0374-8081.
- ^ 初島住彦 (1975). 琉球植物誌 追加・訂正版. 沖縄生物教育研究会. p. 153
- ^ a b 初島住彦; 中島邦雄 (1979-05). 琉球の植物. 講談社
- ^ 林蘇娟 (2006). “奄美大島固有の絶滅危惧種コビトホラシノブ(ホングウシダ科)沖縄で発見”. 植物研究雑誌 81 (5): 302-304. doi:10.51033/jjapbot.81_5_9926.
- ^ 杉本順一 (1966). 日本草木植物総検索誌シダ植物篇. 六月社. p. 171
- ^ a b c d 林蘇娟 (1994). “日本産ホラシノブ 属(ホングウシダ科)の分類学的研究”. 植物研究雑誌 69 (3): 127-141. doi:10.51033/jjapbot.69_3_8895.
- ^ “「2010年奄美豪雨災害の総合的調査研究」報告書”. 鹿児島大学. 鹿児島大学奄美豪雨災害調査委員会. p. 147-156 (2012年3月). 2025年4月7日閲覧。
- ^ “https://www.iucnredlist.org/species/90229298/223034655”. IUCN. 2025年4月7日閲覧。
- ^ “鹿児島県レッドリストの概要”. 鹿児島県 (2021年10月6日). 2025年4月1日閲覧。
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