グルーブドタイヤとは? わかりやすく解説

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グルーブドタイヤ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/12 23:20 UTC 版)

BMW Sauber F1に装着されたグルーブドタイヤ

グルーブドタイヤ (grooved tyre)とは、1998年から2008年までフォーミュラ1 (F1) で用いられていた、円周方向に4本[1]の平行な溝を持つタイヤ。grooveとは英語で「溝を掘る」の意味。

1997年グッドイヤー1社だったF1のタイヤ供給にブリヂストンが参入すると、「タイヤ戦争」と形容される開発競争によりタイヤ性能は著しく向上し、ラップタイムも短縮された[2][3][4]国際自動車連盟 (FIA) は車両速度を抑制し安全性を向上させるために1998年よりスリックタイヤに代わりグルーブドタイヤを導入した[2][3][4]。グルーブドタイヤは、トレッドの円周方向に溝を配することで接地面積を減らし、グリップ力を低減してコーナリング速度を低下させる[3][2][4]。溝は深さ2.5 mm、幅はトレッド表面で14 mm、50 mmの間隔を空けて前輪に3本、後輪に4本設けられた[5]。翌1999年にはなおも向上する車両性能に対応して前輪の溝を1本増やした[2][4]2009年、性能抑制を空力面の大幅な制限により行い、代わってオーバーテイクを容易にする目的でスリックタイヤは復活した[4]

ブリヂストンによる性能比較
スリック グルーブド
ブレーキング性能 100% 90%
コーナリングフォース 80%
摩耗ライフ 50%
(浜島裕英 2000, p. 57)

グルーブドタイヤの溝は複数の面でタイヤ性能を低下させた。

  • 接地面積減少によりグリップ力が低下した[6][7][8]
  • トレッドの見かけ剛性の低下により、アンダーステアの発生や、コーナリング中の挙動、操縦安定性に悪影響を及ぼした[6][7][8]
  • コーナリング中の接地圧分布が悪化し、溝のエッジ部分の負担が非常に大きくなり急速に摩耗する「メクレ摩耗」により、摩耗寿命が大幅に悪化した[9][10][8]

グルーブドタイヤの導入によってラップタイムをおよそ3秒低下させたと見込まれている[8]

脚注

  1. ^ 1998年は前輪用は3本
  2. ^ a b c d ブリヂストン 2006, p. 33.
  3. ^ a b c 浜島裕英 2000, p. 56.
  4. ^ a b c d e 浜島裕英 2009, p. 74.
  5. ^ ブリヂストン 2006, pp. 33, 40.
  6. ^ a b 浜島裕英 2000, p. 57.
  7. ^ a b ブリヂストン 2006, p. 40.
  8. ^ a b c d 浜島裕英 2009, p. 78.
  9. ^ 浜島裕英 2000, pp. 56–57.
  10. ^ ブリヂストン 2006, pp. 39–40.

参考文献

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、グルーブドタイヤに関するカテゴリがあります。


グルーブドタイヤ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 08:32 UTC 版)

レーシングタイヤ」の記事における「グルーブドタイヤ」の解説

規則定められている最低限の溝を表面配した乾燥舗装路面使用するためのタイヤ。この溝は一般自動車用タイヤのように排水目的したものではなくタイヤ接地面積減らしグリップ力を低下させてF1マシン速度低下させる目的つけられている。F1の速度上昇に危険を感じたFIAによるスピード抑制策一環として1998年からレギュレーションでの規定により使用された。2009年からは再びスリックタイヤ変更されている。

※この「グルーブドタイヤ」の解説は、「レーシングタイヤ」の解説の一部です。
「グルーブドタイヤ」を含む「レーシングタイヤ」の記事については、「レーシングタイヤ」の概要を参照ください。

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