クダンクラム原子力発電所とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > クダンクラム原子力発電所の意味・解説 

クダンクラム原子力発電所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/09 03:20 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
クダンクラム原子力発電所
インドにおけるクダンクラム原子力発電所の位置
インド
座標 北緯8度10分08秒 東経77度42分45秒 / 北緯8.16889度 東経77.71250度 / 8.16889; 77.71250 (クダンクラム原子力発電所)座標: 北緯8度10分08秒 東経77度42分45秒 / 北緯8.16889度 東経77.71250度 / 8.16889; 77.71250 (クダンクラム原子力発電所)
着工 1997
事業主体 インド原子力発電公社
原子炉
運転中 2 x 1000 MW
建設中 2 x 1000 MW
計画中 2 x 1000 MW[1][2]
ウェブサイト
Nuclear Power Corporation of India Limited
テンプレートを表示

クダンクラム原子力発電所(くだんくらむげんしりょくはつでんしょ、Koodankulam Power Plant)とはインド南端のタミル・ナードゥ州ティルネルヴェーリ県のクダンクラム地区(Koodankulam)にあるインド原子力発電公社が建設している原子力発電所である。1号機は2011年12月に商業運転開始の予定であったが、福島第一原子力発電所事故を受けて広がりをみせる住民の反対運動のため延期されていたが、2014年12月31日に商業運転を開始した[3]

概略

インド共和国(以下、インド)はIAEAに加盟していないことなどから核関連の国際協力を得ることが困難であり、最初の原子力発電所が1969年に操業を開始するなど早期から実用化していたものの、いずれも比較的小規模な発電所が多かった。

しかし、1988年にロシアと原子力発電所建設で両首脳が合意。その後中断期間を経て1997年にインドの国営企業であるインド原子力発電公社がロシアの原子力関連企業アトムストロイエクスポルトの援助を受け、ロシアの原子力企業ロスアトムにより建設工事が開始、インド初の100万kwを超える原発稼働が目指された。2004年には資材搬入用の専用港が完成、2011年初めには工事が完了し、同年7月に試験運転が行われ、12月に商業運転を開始する予定であった。

原子炉 出力(ネット値) 出力(グロス値) 起工日 臨界開始日 商業発電開始日 備考
1号炉[3] 917 MW 1000 MW 2002年3月31日 2013年7月13日 2014年12月31日 ロシア型加圧水型原子炉(VVER-V412)
2号炉[4] 917 MW 1000 MW 2002年7月4日 2016年7月10日 2017年3月31日 ロシア型加圧水型原子炉(VVER-V412)
3号炉[5] 917 MW 1000 MW 2017年6月29日 N/A N/A ロシア型加圧水型原子炉(VVER-V412)
4号炉[6] 917 MW 1000 MW 2017年10月23日 N/A N/A ロシア型加圧水型原子炉(VVER-V412)

反対運動の経緯

計画当初から反対運動は行われていたが、2001年に地元出身の元大学教授ウダヤ・クマール氏らによるNGO団体、PMANE(People's Movement Against Nuclear Energy)が設立されることにより更に活性化した。特に2011年の福島第一原子力発電所事故以降に1号機が試験運転を行ったことでより多くの住民が運動に参加した。 8月以降連日1万人以上が参加し、津波と地震に対する安全性評価や、環境影響評価の開示などを求めて、集会、デモ行進、女性たちの道路封鎖、無期限ハンストなどが行われた。[7]9月22日、ジャヤラリター州首相は「住民の合意があるまで稼働させない」と表明し、シン首相に原発稼働断念を求めた。[8]

しかし、2012年3月19日州首相は方向転換を発表し、稼働を許可[9]、原発周辺地域を武装警官隊で封鎖し、物資の搬入を禁止、メディアの報道規制も行われた上、PMANE幹部への逮捕状を出した。23日にはデモなどを行った住民665人が逮捕された。[10]その後、高等裁判所が「封鎖解除、物資搬入許可」の緊急判決を下し封鎖は解除されたが、抗議行動は続けられた。[11]

2012年6月初めには国外からも22カ国175団体(一次集約21カ国168団体)の賛同による「インド・クダンクラム原発に反対する人々への弾圧に対する抗議声明」がインド政府、タミル・ナードゥ州政府、インド原子力発電公社に提出された。[12]

2012年9月10日には約1,000人が参加したデモ隊に警官隊が発砲、1人が死亡[13]、9月16日には約200人が警察に拘束される[14]など弾圧が強まる中、原子炉に核燃料を入れる作業が9月19日から始まったと報じられた。[15] 2012年9月25日には連帯の思いを伝えるため訪問した日本人3人が、入国を拒否され強制退去させられている[16]

脚注

  1. ^ Россия и Индия подписали соглашение о строительстве пятого и шестого блоков АЭС Куданкулам” (ロシア語). www.atominfo.ru. 2020年8月27日閲覧。
  2. ^ Ввод пятого энергоблока АЭС Куданкулам запланирован на 2024 год, шестого - на 2025 год” (ロシア語). www.atominfo.ru. 2020年8月27日閲覧。
  3. ^ a b Nuclear Power Reactor Details - KUDANKULAM 1”. PRIS. IAEA. 2020年8月27日閲覧。
  4. ^ Nuclear Power Reactor Details - KUDANKULAM 2”. PRIS. IAEA. 2020年8月27日閲覧。
  5. ^ Nuclear Power Reactor Details - KUDANKULAM 3”. PRIS. IAEA. 2020年8月27日閲覧。
  6. ^ Nuclear Power Reactor Details - KUDANKULAM 4”. PRIS. IAEA. 2020年8月27日閲覧。
  7. ^ 「日本はどうして原発をインドに売るのか」――インド南部住民の反対運動活発化、週間金曜日ニュース、2012年4月16日
  8. ^ しかしタス通信は3月5日付で「原発の安全性について説明がなされ、活動家たちは抗議行動を停止し、原発では作業が再開された」と報じている。
    クダンクラム原発の第1ブロック 燃料の装填準備整う[リンク切れ]
  9. ^ インド州政府 南部の原発計画許可 「安全性を確認」 - MSN産経ニュース - ウェイバックマシン(2012年5月2日アーカイブ分)
  10. ^ 反原発デモで665人逮捕 インド南部 - MSN産経ニュース - ウェイバックマシン(2012年8月27日アーカイブ分)
  11. ^ インド:タミル・ナードゥ州の反原発運動への弾圧(グローバルボイス)
  12. ^ Koodankulam: 168 international organizations from 21 countries urge the Indian govt to stop the reactor — DiaNuke.org
  13. ^ 反原発デモで1人死亡 インド南部、警官隊が発砲 - MSN産経ニュース - ウェイバックマシン(2013年2月4日アーカイブ分)
  14. ^ 反原発行動の200人拘束 インド南部 - ウェイバックマシン(2013年2月4日アーカイブ分)
  15. ^ インド南部の新原発、原子炉に核燃料入れる作業開始 - 朝日新聞デジタル - ウェイバックマシン(2013年5月2日アーカイブ分)
  16. ^ A Nuclear-Free Future is Our Common Dream: Letter from the Japanese Activists Deported from India

外部リンク


「クダンクラム 原子力発電所」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「クダンクラム原子力発電所」の関連用語

クダンクラム原子力発電所のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



クダンクラム原子力発電所のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのクダンクラム原子力発電所 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS