キリストの磔刑 (ヴァン・ダイク)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/01 09:15 UTC 版)
フランス語: Le Christ en croix 英語: Crucifixion |
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作者 | アンソニー・ヴァン・ダイク |
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製作年 | 1630年ごろ |
種類 | キャンバス上に油彩 |
寸法 | 400 cm × 251 cm (160 in × 99 in) |
所蔵 | リール宮殿美術館、リール |
『キリストの磔刑』(キリストのたっけい、仏: Le Christ en croix、英: The Crucifixion)は、17世紀フランドル・バロック期の巨匠アンソニー・ヴァン・ダイクが1630年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。元来、リール (フランス) のレコレ派修道院の高祭壇のために委嘱された。フランス革命中の1795年に没収された後、リール宮殿美術館創設時のコレクションに入り、現在も同美術館に所蔵されている[1][2]。
作品

本作は、ヴァン・ダイクが1627年にイタリアから帰郷し、1632年にロンドンに向けて出発するまでの第二期アントウェルペン時代に制作され、彼がまだルーベンスの工房の助手をしていた第一期アントウェルペン時代の1617-1619年に取り上げた同主題に立ち返っている。その同主題作は『聖母マリア、福音記者ヨハネ、マグダラのマリアのいるキリストの磔刑』で、1621年にベルグのサン・ヴィノック (Saint-Winnoq) 修道院付属イエズス会教会の高祭壇画用にルーベンスに売却され、現在はパリのルーヴル美術館に所蔵されている[3]。
本作の構図はルーヴル美術館の同主題作より独自のもので、中央の位置を占めていない十字架が場面に奥行き感を与えるべく斜め向きに配置されている。空とマグダラのマリアの髪の毛には、ヴァン・ダイクがイタリア滞在中に見たヴェネツィア派の巨匠たちの影響が見て取れる。
登場する3人の人物が身に着ける服の色は象徴的なものである[4]。マグダラのマリアの服の金色を帯びた黄色は永遠の光を、福音記者ヨハネの服の赤色は情熱を、聖母マリアの服の青色は謙虚さを示す。右端の影になっている人物は不明であるが、3人のマリアの1人かもしれない。キリストの磔刑は頭蓋骨の場所を意味するゴルゴタの丘で行われたため、アダムの頭蓋骨が十字架の下の左側 (アザミの横) に見える。アザミは人間の堕落と原罪に関する不運を象徴する[4]が、そのトゲがキリストの茨の冠を想起させるからである。十字架上の (額縁の) 半円形は、三位一体を象徴する「神秘のデルタ」である。
脚注
- ^ Template:Base Joconde
- ^ “Le Christ en Croix – Palais des beaux-arts de Lille.”. 2015年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月24日閲覧。
- ^ Le Christ en croix, la Vierge, saint Jean et sainte Madeleine
- ^ a b Michel Feuillet, Lexique des symboles chrétiens, Puf Poche, Collection Que sais-je ?, Numero 3697, ISBN 978-2-13-057601-3, 2004, 128 pages.
外部リンク
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