カール・グラッツとは? わかりやすく解説

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カール・グラッツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/10 16:51 UTC 版)

カール・グラッツ
生誕 (1919-01-24) 1919年1月24日
オーストリア
ウィーナー・ノイシュタット
死没 2002年3月14日(2002-03-14)(83歳没)
ドイツ連邦共和国
レック英語版
所属組織  ナチス・ドイツ
 西ドイツ
部門 ドイツ国防軍空軍
ドイツ連邦軍空軍
軍歴 1936年–1945年、–1970年
最終階級 少尉(国防軍)
中佐(連邦軍)
部隊 第52戦闘航空団
第33戦闘爆撃航空団英語版
戦闘 第二次世界大戦
受賞 騎士鉄十字章

カール・"チャーリー"・グラッツドイツ語: Karl "Charlie" Gratz1919年1月24日 - 2002年3月14日)は、オーストリア出身のドイツの軍人。最終階級は国防軍で空軍少尉、連邦軍で空軍中佐。第二次世界大戦では900回以上の飛行任務をこなし、138機の撃墜を記録したエース・パイロットとして知られる[1]。その功績から騎士鉄十字章を受章した。

経歴

カール・グラッツは、1919年1月24日オーストリア共和国ウィーナー・ノイシュタットで生まれた。1941年秋より、東部戦線に置かれていた第52戦闘航空団第8飛行中隊に配属され、翌年2月に初戦果を上げた[注釈 1]。伍長に昇進した彼は、その年の夏までに54機の撃墜を記録し、その功績から7月1日騎士鉄十字章を受章した。1942年の終わりまでにさらに29機の撃墜を記録している。1943年3月、グラッツはイギリス海峡第2戦闘航空団「リヒトホーフェン」英語版第II飛行隊に配属替えとなり、西部戦線の最前線に赴くこととなった。彼は西部戦線で17機の撃墜を記録している。1944年3月に第52戦闘航空団へ再配属されたが、その月にドイツ空軍64人目となる100機撃墜を達成した[2]1945年1月に第52戦闘航空団第10飛行中隊中隊長に就任。終戦間際には数週間で18機を撃墜するなど、とりわけ戦果を上げている。アメリカ軍に降伏したものの、彼はソ連軍に引き渡されたため、1949年までソ連によって収容されることとなった。

グラッツは大戦を通じて900回以上の任務に就き、138機を撃墜した。そのうち17機は西部戦線で撃墜したが、その中の3機はアメリカ陸軍航空隊所属の四発重爆撃機である。

戦後、グラッツは新たに編成されたドイツ連邦軍に入隊した。彼は、ヴァルター・クルピンスキー指揮下の第33戦闘爆撃航空団英語版リパブリック F-84F サンダーストリークのパイロットを務めた。1959年5月25日から8月31日までの約3か月間、第33戦闘爆撃航空団は実弾射撃と爆撃演習のため、トルコバンドゥルマ基地に拠点を移した[3]。この演習中、彼は僚機のディートリヒ・シュルツ=ゼンプテンによる誤射で撃墜されかけている。シュルツ=ゼンプテンは、攻撃演習中に誤って搭載していたロケット弾を全弾発射してしまった。着陸後、グラッツは彼に対し、「シュルツ=ゼンプテン、君は気が狂ったに違いない!私が言わなければならないことは一つ、君はバカだ。仮に君が私を撃ったとしても、私は君を打ち負かして撃墜するだろうね。」と述べたとされている[4]

叙勲

注釈

  1. ^ ドイツ国防軍空軍の編成の詳細については、第二次世界大戦中のドイツ空軍の編成を参照のこと
  2. ^ オーベルマイアーによれば受章日は1943年7月26日[5]

出典

脚注

  1. ^ Spick 1996, p. 229.
  2. ^ Obermaier 1989, p. 243.
  3. ^ Braatz 2010, p. 233.
  4. ^ Braatz 2010, p. 234.
  5. ^ a b Obermaier 1989, p. 121.
  6. ^ Patzwall & Scherzer 2001, p. 146.
  7. ^ Fellgiebel 2000, p. 202.
  8. ^ Scherzer 2007, p. 346.

参考文献

  • Braatz, Kurt (2010). Walter Krupinski - Jagdflieger, Geheimagent, General (in German). Moosburg, Germany: NeunundzwanzigSechs Verlag. ISBN 978-3-9811615-5-7.
  • Fellgiebel, Walther-Peer (2000) [1986] (German). Die Träger des Ritterkreuzes des Eisernen Kreuzes 1939–1945 — Die Inhaber der höchsten Auszeichnung des Zweiten Weltkrieges aller Wehrmachtteile [The Bearers of the Knight's Cross of the Iron Cross 1939–1945 — The Owners of the Highest Award of the Second World War of all Wehrmacht Branches]. Friedberg, Germany: Podzun-Pallas. ISBN 978-3-7909-0284-6 
  • Obermaier, Ernst (1989) (German). Die Ritterkreuzträger der Luftwaffe Jagdflieger 1939 – 1945 [The Knight's Cross Bearers of the Luftwaffe Fighter Force 1939 – 1945]. Mainz, Germany: Verlag Dieter Hoffmann. ISBN 978-3-87341-065-7 
  • Patzwall, Klaus D.; Scherzer, Veit (2001) (German). Das Deutsche Kreuz 1941 – 1945 Geschichte und Inhaber Band II [The German Cross 1941 – 1945 History and Recipients Volume 2]. Norderstedt, Germany: Verlag Klaus D. Patzwall. ISBN 978-3-931533-45-8 
  • Scherzer, Veit (2007) (German). Die Ritterkreuzträger 1939–1945 Die Inhaber des Ritterkreuzes des Eisernen Kreuzes 1939 von Heer, Luftwaffe, Kriegsmarine, Waffen-SS, Volkssturm sowie mit Deutschland verbündeter Streitkräfte nach den Unterlagen des Bundesarchives [The Knight's Cross Bearers 1939–1945 The Holders of the Knight's Cross of the Iron Cross 1939 by Army, Air Force, Navy, Waffen-SS, Volkssturm and Allied Forces with Germany According to the Documents of the Federal Archives]. Jena, Germany: Scherzers Militaer-Verlag. ISBN 978-3-938845-17-2 
  • Spick, Mike (1996). Luftwaffe Fighter Aces. Ivy Books. ISBN 0-8041-1696-2.

外部リンク

  • Karl Gratz” (German). Jagdgeschwader 52 — Traditionsgemeinschaft Jagdgeschwader 52 e.V.. 2011年9月15日閲覧。



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