カラビ予想の微分方程式への変換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/22 07:43 UTC 版)
「カラビ予想」の記事における「カラビ予想の微分方程式への変換」の解説
M をケーラー形式 ω を持つコンパクト複素多様体とする。同じクラスに中の任意の他のケーラー形式は、定数を加えることを除き、一意に M 上のある滑らかな函数 φ に対し ω + d d ′ ϕ {\displaystyle \omega +dd'\phi } となる。従って、カラビ予想は次の問題と同値となる。 F=ef を平均値 1 を持つ M 上の正の滑らかな函数とする。すると、滑らかな実函数 φ が存在して、 ( ω + d d ′ ϕ ) m = e f ω m {\displaystyle (\omega +dd'\phi )^{m}=e^{f}\omega ^{m}} を満たし、φ は定数を加えることを除き一意に決まる。 これは、単一の函数 φ についての複素モンジュ・アンペールタイプの方程式である。この方程式は、高次の項が非線形であるため、解くことが特に困難な偏微分方程式である。f = 0 のときに、φ = 0 が解であることは簡単である。連続法のアイデアは、方程式を解くことができる全ての f の集合が開集合かつ閉集合であることを示すことである。 解くことのできる f の集合が空でなければ、全ての f の集合は連結であるから、全ての f に対して方程式を解くことが可能であることが示される。 次の式により定義される φ から F への滑らかな函数どうしの写像は、単射でも全射でもない。 F = ( ω + d d ′ ϕ ) m / ω m {\displaystyle F=(\omega +dd'\phi )^{m}/\omega ^{m}} φ に定数を加えることで F は変化しないので単射ではないし、F は正であり、かつ平均値 1 を取らねばならないので全射ではない。従って、平均値 0 を取るように正規化された φ に函数を限定した写像を考え、この写像が平均値 1 を取る正の F=ef の集合の上への写像となるかを問うことになる。カラビとヤウは、実際、この写像が同型となることを証明した。下記に示すように、この証明はいくつかのステップを踏む。
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