カラテオドリの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/29 11:21 UTC 版)
数学において、コンスタンティン・カラテオドリの名にちなむカラテオドリの定理と呼ばれるものは多数ある。
- カラテオドリの定理 (等角写像):等角写像の境界への拡張に関するもの
- カラテオドリの定理 (凸包):ユークリッド空間内の集合の凸包に関するもの
- カラテオドリの定理 (測度論):測度論における外測度に関するもの
- カラテオドリの存在定理:常微分方程式の解の存在に関するもの
- 積分因子 -微分1-形式の積分因子の存在に関するもの
- カラテオドリの拡張定理:測度の拡張に関するもの
- ボレル・カラテオドリの定理:複素解析的関数の有界性に関するもの
- カラテオドリ・ヤコビ・リーの定理:シンプレクティックトポロジーにおけるダルブーの定理の一般化
- カラテオドリの核定理:単葉関数の局所一様収束に対する幾何学的判定法
熱力学におけるカラテオドリの原理を、カラテオドリの定理と呼ぶこともある。熱力学第二法則の別表現で、「任意の熱平衡状態の近傍には、断熱変化では到達不可能な状態が存在する」というもの。
カラテオドリの定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/26 14:15 UTC 版)
n {\displaystyle n} 次元多様体 M {\displaystyle M} の領域 U {\displaystyle U} で定義された 1-形式 ψ {\displaystyle \psi } について ψ = f d g {\displaystyle \psi =f\,dg} が成立するような関数 f {\displaystyle f} , g {\displaystyle g} (ただし f ≠ 0 {\displaystyle f\neq 0} ) が存在するとき、 1 / f {\displaystyle 1/f} を ψ {\displaystyle \psi } の積分因子と呼ぶ。1-形式 ψ {\displaystyle \psi } の積分因子の存在に関して、カラテオドリの定理は以下の3命題が同値であることを主張する。 M {\displaystyle M} の任意の点 x {\displaystyle x} について、点 x {\displaystyle x} の近傍 V {\displaystyle V} が存在し、 V {\displaystyle V} 内の任意の x {\displaystyle x} の近傍 W {\displaystyle W} に、区分的 C ∞ {\displaystyle C^{\infty }} -級曲線 γ {\displaystyle \gamma } であって γ ˙ {\displaystyle {\dot {\gamma }}} が定義されるすべての点で ψ { γ ˙ ( t ) } = 0 {\displaystyle \psi \{{\dot {\gamma }}(t)\}=0} を満たすような曲線 γ {\displaystyle \gamma } によって点 x {\displaystyle x} と結ばれることのないような点 y ∈ W {\displaystyle y\in W} が存在する。 ψ ∧ d ψ = 0 {\displaystyle \psi \wedge d\psi =0} 任意の点 x ∈ M {\displaystyle x\in M} にある近傍 V {\displaystyle V} が存在し、 ψ {\displaystyle \psi } の V {\displaystyle V} への制限は積分因子を持つ。 この定理は1909年にコンスタンティン・カラテオドリによって熱力学第二法則の定式化のために導入された。 ψ {\displaystyle \psi } が閉形式(すなわち d ψ = 0 {\displaystyle d\psi =0} が成立するもの)であればポアンカレの補題により積分因子 1 {\displaystyle 1} が存在する。また n ≤ 2 {\displaystyle n\leq 2} のときカラテオドリの定理によりすべての 1-形式について積分因子の存在が保証される(これはJohann Friedrich Pfaffによって最初に示された)。
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