カモグチウオ科とは? わかりやすく解説

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カモグチウオ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/05 10:24 UTC 版)

カモグチウオ科
メガネカモグチウオ Cygnodraco mawsoni
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : ノトテニア亜目 Notothenioidei
: カモグチウオ科 Bathydraconidae
学名
Bathydraconidae
Regan, 1913[1]
英名
Antarctic dragonfish

カモグチウオ科[2](学名:Bathydraconidae)は、ノトテニア亜目に分類される科の1つ。11属18種が分類され、南極海深海から知られている[3][4]

分類と名称

1913年にイギリス魚類学者であるチャールズ・テイト・リーガン英語版によって、スコットランド国営南極遠征で採集された魚類に関する報告書の中で設立された[1]。リーガンは1878年にアルベルト・ギュンターB. antarctica を模式種とする単型属として設立した Bathydraco 属を基準属とした[5]。分子解析により、3つの分岐群に分かれることが支持されている。これらを亜科とする場合もあり、Bathydracoinaeには BathydracoPrionodracoRacovitzia が含まれる。Gymnodraconinaeには GymnodracoPsilodracoAcanthodraco が含まれる。Cygnodraconinaeには CygnodracoGerlacheaParachaenichthys が含まれる[6]。しかし『Fishes of the World』第5版では、本科に亜科を認めていない[7]。学名は基準属である Bathydraco に由来し、「bathy (深い)」と「draco (ドラゴン)」を組み合わせたものである。その名の通りタイプ標本は水深2,304mと深場から採集され、dracoはノトテニア亜目の学名に使用されることが多い[8]

形態

体は長い円筒形だが、前部は扁平、後部は側扁型に近い。背鰭は1基で、基部が長く、棘条を持たない。臀鰭は一般に背鰭より基部が短く、棘条は無い。胸鰭はよく発達しており、腹鰭には1本の棘と、胸鰭の前方から始まる5本の分岐軟条がある。頭部は中型から大型で、種によってはへこんでいる。吻部は長く、平らかわずかにへこみ、通常は尖っている。口は大きく、目の中央まで開くこともある。顎には小さな円錐形の歯があり、犬歯もあるが、口の他の部分には歯は無い。外鼻孔は1つで、鰓蓋は後方を向いた鉤状または棘状で、突起を持たない場合もある。体には櫛鱗または骨板で覆われ、鱗を持たない種もある。側線は1-5本だが、4本の種はいない。側線鱗には孔があり、時折連結している[9]

分布と生態

南極海で見られる底魚である。商業的に漁獲されることはなく、ほとんど知られていない[10]。大半の種は南極大陸大陸棚大陸斜面に生息するが、周辺の島から報告されている種もある。沿岸の浅場に生息するが、深さ3,000mからも発見されている。キバゴチはマクマード湾英語版海氷下の浅場に生息しており、ロス棚氷の下にも生息している可能性がある[9]

下位分類

以下の属と種が分類されている[3][5]。和名は岩見・川口・永延(2001)に従った[2]

脚注

  1. ^ a b Richard van der Laan; William N. Eschmeyer & Ronald Fricke (2014). “Family-group names of Recent fishes”. Zootaxa 3882 (2): 001–230. doi:10.11646/zootaxa.3882.1.1. PMID 25543675. https://www.researchgate.net/publication/268078514. 
  2. ^ a b 岩見哲夫; 川口創; 永延幹男 (2001). “南極海およびその周辺海域より報告のある魚類の標準和名のリストならびに新和名の提唱”. 遠洋水産研究所研究報告 38: 36. https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010622403. 
  3. ^ a b FAMILY Details for Bathydraconidae - Antarctic dragonfishes”. fishbase.mnhn.fr. 2025年2月21日閲覧。
  4. ^ "Bathydraconidae" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2025年2月22日閲覧
  5. ^ a b CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Bathydraconidae”. researcharchive.calacademy.org. 2025年2月22日閲覧。
  6. ^ N. Derome; W. J. Chen; A. Dettai; C. Bonillo; G. Lecointre (2002). “Phylogeny of Antarctic dragonfishes (Bathydraconidae, Notothenioidei, Teleostei) and related families based on their anatomy and two mitochondrial genes”. Mol. Phylogenet. Evol. 24 (1): 139–152. doi:10.1016/S1055-7903(02)00223-3. PMID 12128034. 
  7. ^ J. S. Nelson; T. C. Grande; M. V. H. Wilson (2016). Fishes of the World (5th ed.). Wiley. pp. 465. ISBN 978-1-118-34233-6. オリジナルの2019-04-08時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190408194051/https://sites.google.com/site/fotw5th/ 2021年10月6日閲覧。 
  8. ^ Order Perciformes: Suborder Notothenoididei: Families Bovichtidae, Pseaudaphritidae, Elegopinidae, Nototheniidae, Harpagiferidae, Artedidraconidae, Bathydraconidae, Channichthyidae and Percophidae”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (2024年10月8日). 2025年2月22日閲覧。
  9. ^ a b O. Gon (1990). “Bathydraconidae Dragonfishes”. In O. Gon; P.C. Heemstra. Fishes of the Southern Ocean. South African Institute for Aquatic Biodiversity. ISBN 9780868102115. https://www.biodiversitylibrary.org/item/240475#page/386/mode/1up 
  10. ^ Andrzej Kompowski. “Studies on Psilodraco breviceps Norman, 1937 (Pisces, Nototheniodei, Bathydraconidae) from the region of South Georgia”. Acta Ichthyologica et Piscatoria. オリジナルの2006-09-25時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20060925134715/http://www.aiep.pl/abstract/pdf_1992/22_1_01.pdf. 

関連項目




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