エクリチュールによるセラピー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 14:37 UTC 版)
「小間使の日記」の記事における「エクリチュールによるセラピー」の解説
しかしながら、作品の雰囲気がどれほど息苦しくかつ病的なものであり、否応なく腐敗と虚無に運命づけられた人類の展望が、どれほど絶望的なものであっても、いま一度、拷問としてのエクリチュールは甘美なセラピーに変貌する。世界弁証法のあらたな例証。嘔吐の原因が元気を与え喜びにみちたものと化す。われわれの欠陥を並べ立てると楽しみの渦が広がる。絶望の底から、馬鹿げた生活をしのぎやすくする、改善の意思が明確に現れる。嘔吐は「上昇」と社会参加に不可欠の第一段階にすぎない。そしてミルボーは、ボードレールのように、よそに晴朗さを、さらには精神的開花を求めるように、泥の中に、腐乱死体の中に、「瘴気」の中に我々の首を突っ込ませるだけなのだ。
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