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ウィリアム・ボイド (作家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/02 09:23 UTC 版)

ウィリアム・ボイド
William Boyd
誕生 (1952-03-07) 1952年3月7日(73歳)
英領ゴールド・コーストアクラ[1]
職業 小説家、脚本家
言語 英語
国籍 イギリス
最終学歴 ニース大学英語版
グラスゴー大学
ジーザス・カレッジ
活動期間 1981年 -
ジャンル スパイ小説
主な受賞歴 ウィットブレッド賞処女小説部門(1981年)
デビュー作 『グッドマン・イン・アフリカ』
公式サイト www.williamboyd.co.uk
ウィキポータル 文学
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ウィリアム・ボイドWilliam BoydCBE1952年3月7日 - )は、イギリス小説家脚本家

経歴

1952年ガーナの首都・アクラに生まれ、幼少期をガーナとナイジェリアで過ごす[1]スコットランドの名門寄宿学校・ゴードンストウンを経て、フランスニース大学英語版へ進学。更にグラスゴー大学オックスフォード大学ジーザス・カレッジでも学んだ。1980年から1983年セント・ヒルダズ・カレッジ英語版で英語の講師を務めながら、1981年に処女作『グッドマン・イン・アフリカ』(原題:A Good Man in Africa )を上梓。

2005年大英帝国勲章のコマンダーに叙された。2014年8月、スコットランド独立に反対する200人の著名人の署名が『ガーディアン』に寄せられ、ボイドもサインした1人である[2]

作品解説

2009年のボイド

小説

メジャーな文学賞の最終候補に残ったり、受賞したこともあるが、知名度はそれほど高くない。1983年に文芸誌『グランタ』が行ったプロモーションで「20人の若手国内作家」の1人に選ばれた。

1981年に上梓した処女作『グッドマン・イン・アフリカ』は、西アフリカで活動するイギリス人外交官に降りかかる災難を描いた作品で、ウィットブレッド賞サマセット・モーム賞を受賞した。翌1982年に発表した『アイスクリーム戦争』(原題:An Ice-Cream War )は、第一次世界大戦下の東アフリカの植民地で起こった戦闘(アフリカ戦線)を描いており、ジョン・ルウェリン・リース記念賞を受賞したほか、ブッカー賞にノミネートされた。1991年に発表した"Brazzaville Beach" は、アフリカでチンパンジーの行動を研究する女性科学者の物語で、2002年"Any Human Heart" は20世紀のイギリス人作家の架空の日記という体で執筆され、ブッカー賞の一次候補になった。2006年に発表した『震えるスパイ』(原題:Restless )は、母が第二次大戦中にスパイにリクルートされ諜報活動に加わっていたことを知った若い女性の物語で、コスタ賞の最優秀小説部門を受賞した。2012年には"Waiting for Sunrise" を発表した[3]

ジェームズ・ボンド・シリーズの新作

2012年4月11日、ジェームズ・ボンド・シリーズの新作の執筆を任されることが発表された[4]。タイトルは"Solo"1969年を舞台とした作品で、2013年9月にジョナサン・ケープ社から刊行された。

ボイドは2002年に発表した小説"Any Human Heart" の中で、第二次大戦中に主人公のローガン・モンスチュアートを海軍のスパイにリクルートする役どころで、ボンドの生みの親イアン・フレミングを登場させている[5]

また、ジェームズ・ボンドを演じた3人の俳優、ショーン・コネリーピアース・ブロスナンダニエル・クレイグと共演したことがある[6]

脚本

脚本家としても数多くの映画やテレビドラマに携わっている。1987年にイーヴリン・ウォーの『スクープ』を皮切りに、自著『スターズ・アンド・バーズ』(1988年)、『グッドマン・イン・アフリカ』(1994年)、『チャーリー』(1992年)などの脚本を執筆し、『ザ・トレンチ(塹壕)』(1999年)では監督も務めた。イングランドの私立学校の日常を描いた自身の短編"Good and Bad at Games" (1983年)や、『コリン・ファースのときめきアムステルダム』(Dutch Girls 、1985年)などテレビ映画も手掛けている。

悪ふざけ

1998年に発表した"Nat Tate: An American Artist 1928–1960" は、1950年代ニューヨークを拠点に活動した抽象表現主義の画家ナット・テイトの悲劇的な人生をつづった伝記であるが、この人物も絵画もボイドの創作によるものである。刊行当初はフィクションであることが伏せられていたため、完全に騙された読者もいた。デヴィッド・ボウイが(ジョークで)この本からの言葉を引用したり、著名な芸術家たちもナット・テイトという名を覚えておくべきだと叫んだため、事実が明かされると、ちょっとした騒動となった[7]。なお、ナット・テイトという名前は、イギリスを代表する美術ギャラリー「ナショナル・ギャラリー (National Gallery) 」と「テート・ギャラリー (Tate Gallery) 」に由来する。また、"Any Human Heart" にもナット・テイトを登場させている。

演劇

2013年には、アントン・チェーホフの短編"A Visit to Friends""My Life" を演劇"Longing" 用の脚本も手掛けた[8]。監督はニーナ・レイン、出演者はジョナサン・ベイリータムシン・グレイグナターシャ・リトル英語版、イヴ・ポンソンビー、ジョン・セッションズ英語版ケイトリン・スチュアート英語版らである。[9][10] 1970年代、グラスゴー大学で演劇の批評をしていたため、俳優業をしている友人が多くおり、演劇の脚本を書きたいというボイドの望みがようやくかなった[10]

作品リスト

小説

短編集

  • On the Yankee Station (1981年 ハミシュ・ハミルトン)
  • School Ties (1985年 ハミシュ・ハミルトン)
  • My Girl in Skin Tight Jeans (1991年)
  • The Destiny of Nathalie 'X' (1995年 シンクレア・スティーヴンソン)
  • Killing Lizards (1995年 ペンギン)
  • Fascination (2004年 ハミシュ・ハミルトン)
  • The Dream Lover (2008年 ブルームズベリー)

ノンフィクション

  • Protobiography (1998年 ブリッジウォーター)
  • Bamboo (2005年 ハミシュ・ハミルトン)

その他

演劇

  • Longing (2013年) - チェーホフの短編2作が原作

脚本

  • School Ties (1985年 ハミシュ・ハミルトン)

未収録の短編

未刊

  • Against the Day[11]
  • Truelove at 29[12]

文学関連の受賞・候補歴

出典

  1. ^ a b “William Boyd - Biography”. williamboyd.co.uk. http://www.williamboyd.co.uk/biography 2012年3月4日閲覧。 
  2. ^ Celebrities' open letter to Scotland – full text and list of signatories | Politics”. theguardian.com (2014年8月7日). 2014年8月26日閲覧。
  3. ^ Kirby, A. J. (2012年4月17日). “Waiting for Sunrise: A Novel”. nyjournalofbooks.com. http://nyjournalofbooks.com/review/waiting-sunrise-novel 2012年4月18日閲覧。 
  4. ^ “William Boyd to write new James Bond book”. itv.com (ITVニュース). (2012年4月12日). http://www.itv.com/news/2012-04-12/william-boyd-to-write-new-james-bond-book/ 2012年4月13日閲覧。 
  5. ^ Lang, Kirsty (2012年12月27日). “James Bond author William Boyd on Restless, and the spy who thrilled him”. ラジオ・タイムズ. 2013年9月27日閲覧。
  6. ^ “The name's Boyd. William Boyd: New author named for latest James Bond book”. デーリー・メール. (2012年4月12日). http://www.dailymail.co.uk/news/article-2128520/The-names-Boyd-William-Boyd-New-author-named-latest-James-Bond-book.html 2012年4月13日閲覧。 
  7. ^ “Bowie and Boyd "hoax" art world”. BBC. (1998年4月7日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/75207.stm 2007年3月11日閲覧。 
  8. ^ Snetiker, Marc (2013年1月4日). “Tamsin Greig and John Sessions to Lead William Boyd's Longing in London”. 2013年2月4日閲覧。
  9. ^ Main Stage: Longing”. 2013年2月4日閲覧。
  10. ^ a b Susie Mesure (2012年12月16日). “William Boyd: The man who knows the real 007”. The Independent. http://www.independent.co.uk/news/people/profiles/william-boyd-the-man-who-knows-the-real-007-8420442.html 
  11. ^ Boyd 2008, p. 4-5.
  12. ^ Boyd 2008, p. 5.

参考

  • The Times Literary Supplement, "Edge of Armaggedon", August 2006,[1]
  • William Boyd, Penguin UK authors [2]
  • Stars and Bars, New York Times, 21 May 1983, "New Territory for Explorer in Fiction", Eleanor Blau [3]
  • The Guardian, 2 October 2004 "Brief Encounters" (William Boyd on the art of short story writing) [4]
  • The Telegraph, 17 October 2004 "Writers' Lives: William Boyd" [5]
  • The Observer, 3 October 2004, Fascination, "Too many tricks spoil the book" [6]
  • Prospect magazine, "A Short history of the short story" [7]
  • British Arts Council's emcompassculture [8]
  • The Observer, 3 September 2006, "My week: William Boyd"
  • Toronto Globe and Mail, Ben King interview, Profile of William Boyd, 2002 [9]
  • Financial Times, 14 February 2005, Arts & Style: "A soft spot for cinema" [10]
  • Guardian Unlimited, 12 September 1999, "Boyd's own story", The Trench [11]
  • Boyd, William (2008). The Dream Lover 

外侮リンク




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