アキレウスの最後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 07:31 UTC 版)
「トロイア戦争にかかわる伝説」の記事における「アキレウスの最後」の解説
アキレウスの死 アンティロコスの死に激こうし続けるアキレウスは、町の近くまでトロイアー兵を殺すべく追いかけ、大地が至るところ血にそまるほど多くの兵士を殺した。 アキレウスがトロイアー兵を屠り殺す様子に憤りを感じたポイボス・アポローンは、アキレウスに声をかけ、戦場を離れるようにいった。しかしアキレウスはこのアポローンの忠告を省みないばかりか、逆にアポローンに遠くに退くよう言い、なおもトロイアー兵を追廻して殲滅し続けた。 この様子に怒りに駆られた遠矢の神アポローンは、パリス(アレクサンドロス)に力を貸し、弓でもってアキレウスを射た。矢がアキレウスの踵に当たると、たちまち苦痛が心臓まで達し、アキレウスはその場に倒れた。 (注:伝によってはアキレウスは不死身であると伝えられているが、この伝では踵がアキレウスの唯一の弱点である。アキレウスを射たのはアポローン、パリスふた通りの伝承がある) アキレウスは激痛を堪え、なおもトロイアー兵を屠り続けた後、ついに死んだ。死ぬ直前までのアキレウスの戦いぶりがあまりに凄まじかったため、トロイアー兵は誰一人としてアキレウスの異変に気づかなかったという。 遺体の争奪、グラウコスの死 アキレウスが死ぬとアカイア、トロイアー両勢の間で遺体争奪の戦いが起こった。大アイアースはアキレウスの死体を守るべく槍で敵兵を追い払い死体を守ろうと、グラウコスの親友エリュマースをはじめ多くの者を殺した。親友を殺されたグラウコスはアイアースへと踊りかかり、槍でアイアースの盾を突いたが、幾層もの牛の皮でできた盾を貫くには至らず、大アイアースの攻撃で討ち死にした。 アイアースはさらにアイネイアースとパリスとを傷つけ、オデュッセウスの援護のもと、アキレウスの死体を兵船の前の天幕まで連れ帰った。 埋葬 アキレウスの死体を前に、アカイアの将達は様々に追悼を述べた。そして亡骸を大釜に入った湯でテティスがアキレウスに送った真紅の服を遺体に着せた。トリトーゲネイア・アテーナーはアキレウスに哀れをもよおし、アキレウスの死体にアンブロシアをかけた。アンブロシアには死体をいつまでも若く保つ効果があるという。さらにアテーナーはアキレウスの盾を、パトロクロスのために嚇怒した文様の恐ろしげなものに変えた。遺体があまりに生きているときさながらだったのでアカイアー勢は皆度肝を抜かれたという。アカイアー勢達は遺体の上に薪を積み上げ、火をつけた。テティスはアキレウスを火の中から運び去って、「レウケーの島」あるいは「至福者の島」に置いたと言う。 葬送競技
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