アガサ・クリスティへのオマージュ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/10 22:00 UTC 版)
「カササギ殺人事件」の記事における「アガサ・クリスティへのオマージュ」の解説
上巻に登場する名探偵アティカス・ピュントは几帳面そうな小柄な男で、第一次世界大戦を生き延びてドイツからの難民としてイギリスに渡って来る前は、ドイツでは警察官として、イギリスでは私立探偵として数えきれないほどの事件で警察に協力してきたという、エルキュール・ポアロを彷彿とさせる設定である。 アティカス・ピュントシリーズの作者、アラン・コンウェイの仕事部屋にはクリスティ全集が置かれている。 下巻には『葬儀を終えて』と同名の章がある。また、下巻の「作家の孫」の章では、アガサ・クリスティの実在の孫、マシュー・プリチャードが登場し、スーザン・ライランドと『七つの時計』に登場する組織の名前と同名の「セブン・ダイヤルズ」というカクテル・バーで会っている。 さらに、「作家の孫」の章でマシュー・プリチャードはスーザンに、コンウェイの本には祖母(アガサ・クリスティ)の本から借りた人名・地名がちりばめられていると語っている。それを聞いたスーザンは、『カササギ殺人事件』の中で以下のような例を思い浮かべている。 サー・マグナス・パイ夫妻が宿泊していたホテル《オテル・ジュヌヴィエーヴ》は、『ゴルフ場殺人事件』に登場するホテルと同じ名前である。 ロバート・ブラキストンが喧嘩に巻き込まれた《青蛇》亭は、ミス・マープルが住むセント・メアリ・ミードの酒場と同じ名前である。 レディ・パイとジャック・ダートフォードが昼食をとった《カーロッタズ》は、『エッジウェア卿の死』に登場する米国人女優カーロッタ・アダムズからとられたものではないか。 パディントン駅3時50分発の列車に乗ったジェイムズ・フレイザーが死んだ乗客に気付かなかった話は、『パディントン発4時50分』を意識したものだろう。 ブラキストン一家が住んでいたシェパード農場は『アクロイド殺害事件』の語り手ジェイムズ・シェパード医師の名前で、レナード老医師が葬られた村の名前は同作の舞台キングズ・アボットと同じ名前である。 『カササギ殺人事件』の筋立てに古い童歌が使われているのは、童歌が好きだったクリスティが『愛国殺人』や『五匹の子豚』、『そして誰もいなくなった』、『ヒッコリー・ロードの殺人』など、何度となく使った技法をなぞったものだろう。 そのほか、ジェイムズ・テイラーがスーザンに、アティカスの助手兼秘書のジェイムズ・フレイザーの「フレイザー」は、テレビドラマ『名探偵ポワロ』でポワロの相棒役を演じた俳優フレイザーからとられたものであると明かしている。
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