アカイボカサタケとは? わかりやすく解説

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アカイボカサタケ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/09 11:35 UTC 版)

アカイボカサタケ
分類
: 菌界 Fungi
: 担子菌門 Basidiomycota
亜門 : ハラタケ亜門 Agaricomycotina
: ハラタケ綱 Agaricomycetes
亜綱 : ハラタケ亜綱 Agaricomycetidae
: ハラタケ目 Agaricales
: ハラタケ科 Agaricaceae
: ハラタケ属 Agaricus
: アカイボカサタケ
A. quadratus
学名
Agaricus quadratus Berk. & M.A. Curtis (1859)[1]
シノニム
和名
キイボカサタケ

アカイボカサタケ(赤疣傘茸[4]学名: Agaricus quadratus)は、雑木林に生えるハラタケ科ハラタケ属[注 1]の小型から中型のキノコである。食毒性は不明であったが[3]、近年の図鑑では有毒とされる[2][4]。全体が朱紅色で、成長の度合いによるが中心に突起ができ、名前にイボと付く由来になっている。

分布と生態

東アジア日本台湾ニューギニアマダガスカル北アメリカ(東部・中部)に分布する[3][2]

担子菌類の落葉分解菌[4](腐生性)[6]。夏から秋にかけて、シイカシ林や雑木林などの林床の落ち葉の隙間や朽木の周辺に発生し[4][6][6]、群生または散生する[2]。時折、近縁種であるシロイボカサタケの近くに生えている様子も見ることができる。雑木林内では比較的よく見かけることができるキノコである[4]。落葉を分解して栄養を得るために、子実体を持ち上げると菌糸が広がる落葉が一緒に持ち上がる[4]

形態

子実体からなり[2]、朱紅色または鮭肉色をしており、イッポンシメジ科らしい華奢で繊細なキノコである。

傘の径は1 - 5センチメートル (cm) [3][2]円錐状または円錐鐘状、傘の上面は薄い橙色から朱紅色、サーモンピンク色(鮭肉色)をしており、中心に小さなイボ状の突起があるが、この突起は落ちやすい[3][4]。また和名にアカ(赤)とつくが、橙色に近い[4]。湿時は傘の周縁に放射状の条線を現す[3][2]。縁の部分は、しばしば波打ったり裂けたりする[7]。傘下面のヒダは傘と同色で、やや疎らに並び、柄に対して直生から上生する[3][4]。ヒダは成熟すると肉色になる[8]

柄は長さ5 - 11 cm、太さ1.5 - 4ミリメートル (mm) で上下道幅、表面は傘と同色、中空で少し捻れて縦縞模様がある[3][2][4][7]。柄の根元には綿毛状の菌糸がある[7]は脆く、表面と同色[3]

担子胞子は四角状の六面体で、無色、径10.5 - 12.5マイクロメートル(μm)、非アミロイド[3][2]。緑シスチジアは大形で、円柱形から棍棒形をしている[3]。胞子紋は汚桃色[2]

毒性

毒成分は不明であるものの、キイボカサタケEntoloma murrayi)と同様に胃腸系の中毒を起こすと言われるが詳細は不明である[5]

類似するキノコ

色違いで同じような形態のキノコがあり[8]、アカイボカサタケの基本種はキイボカサタケEntoloma murrayi)およびシロイボカサタケEntoloma murrayi f. album)と同形同大であるが、全体が朱紅色で濃い肉色をしているため区別がつく[2]。またアカイボカサタケからは、不快な臭いが出ており、多くの場合、近くに寄っただけでも臭いを感じることができる[要出典]。このキノコは図鑑により食毒不明のキノコとされていたが、近年の図鑑では有毒との記載がある[8][注 2]

脚注

注釈

  1. ^ 古い図鑑ではイッポンシメジ科イッポンシメジ属に分類している[5]
  2. ^ イボカサタケの仲間には、赤色(アカイボカサタケ)、白色(シロイボカサタケ)、黄色(キイボカサタケ)、青色(ソライロカサタケ)の4色のキノコがあり、青色のソライロタケ(Entoloma virescens)以外は有毒といわれている[4]

出典

  1. ^ a b c d Agaricus quadratus”. MYCOBANK Database. 国際菌学協会 (IMA) とウェスターダイク菌類生物多様性研究所. 2025年4月9日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 前川二太郎 編著 2021, p. 250.
  3. ^ a b c d e f g h i j k 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著 2011, p. 278
  4. ^ a b c d e f g h i j k 秋山弘之 2024, p. 27.
  5. ^ a b 長沢栄史 監修 2009, p. 160.
  6. ^ a b c 宮内泰之 監修 2023, p. 25.
  7. ^ a b c 長沢栄史監修 2009, p. 160.
  8. ^ a b c 牛島秀爾 2021, p. 25.

参考文献

関連項目

外部リンク




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