ふ化促進物質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 09:17 UTC 版)
「ジャガイモシストセンチュウ」の記事における「ふ化促進物質」の解説
1920年代に、シストからのシストセンチュウのふ化は奇主植物の根から分泌されるふ化促進物質によって引き起こされることが明らかとなっていた。1992年に、ジャガイモの水耕栽培液からジャガイモシストセンチュウのふ化促進物質であるソラノエクレピンA(英: solanoeclepin A、C27H30O9)が発見された。ソラノエクレピンAの分子構造はX線結晶解析によって決定されている。また、ソラノエクレピンAの全合成は2011年に成功している。ただし、ソラノエクレピンAは三員環から七員環までの全ての環を含む複雑な構造であるため、全合成には52工程が必要だった。 ふ化促進物質の開発はシストセンチュウの有効な駆除方法として進められている。ジャガイモシストセンチュウはナス科植物以外に寄生することはできないため、他科植物を栽培中にふ化促進物質を散布するとジャガイモシストセンチュウは寄生による栄養の摂取ができず、餓死するものと予想されている。ふ化促進物質を用いた駆除方法は検討されており、トマトの水耕栽培液を用いた実験でその有効性が確認された。 ただし、上記のようにソラノエクレピンAの全合成は困難であるため、合成が容易な類縁体の研究が進められている。
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