これに関する議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/20 08:45 UTC 版)
上記のように本種は分布域の限られた稀少な種であり、それに関してはいくつかの議論がなされてきた。特に分布域において島嶼にその生育地が集中していることは注意を引いた。例えば中西(2007)では長崎県での新産地発見に関して本県での分布地が合計9カ所となったこと、その内訳が無人島6,有人島2、陸繋島1であることを記している。さらに中西(2010)は面積が1平方㎞以下の島嶼に偏って分布する植物を島嶼偏在植物と定義し、本種をその代表的なものとして取り上げた。それによると、本種が本州中部まで分布するのはその中では例外的で、それ以外のものはより南に分布があってこの地域が北限に当たることから、島嶼は周囲を海に囲まれた小さな陸地であり、冬季に温度低下が少ないことがこのような分布の原因であり、これに加えてそこに成立する森林が原生的ではないにしろ人手がさほど入らないこと、と同時に台風等の影響を受けやすいことから極相状態が破壊されていることなどが原因であると推定している。このような分布は九州に限らず、近畿地方でも簡単に行き着けない島や岬に多いとの報告があり、九州でのさらに詳しい調査では、本種の分布するのは面積1平方km以下の島が55.8%、10平方km以下で79.8%にも達する。
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