『甲陽軍鑑』における分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/04 01:50 UTC 版)
『甲陽軍鑑』品第四十(下)では、兵法家は3つに分類されている。 兵法つかい - 練習を通して、人に教える事ができるもの(教育者・指導者)。 兵法者 - 剣技に優れ、勝負に強い者(達人)。例として、塚原卜伝と前原筑前の名が挙げられており、卜伝を、「奇特はないが、兵法修行に励み、諸侍の大小ともに畏敬される者」と評し、筑前については、「さしずめ目も足も手も身もきく、奇特を現す者」と分類している。 兵法仁 - 武芸に優れ、特別な技巧なくしても何度でも手柄を取り、勝利する者(知略家)。山本勘助の名が挙げられており、この「兵法仁」が3段階のヒエラルキーの頂点と位置付けられている。 ただし、「軍なるものは進止ありて、正奇なし(基本運用は進むか止まるかであって、正兵・奇兵は瑣末である)」(『闘戦経』)の記述にあるように、知略家を頂点とする考え方に否定的な兵法書もある。理由として、奇策に頼り過ぎると、真正面から攻めること、ひいては敵を恐れるようになってしまう為である。『闘戦経』が「大将視点」で語られ、『五輪書』が「一兵視点」で説かれたのに対し、『甲陽軍鑑』の場合、「軍師視点」であり、従って、兵法を指導できる程度の者を下位とし、兵法で勝ち続ける者を中位、その上位を戦術に長けた者と位置付けた(山本勘助も京流を初めとする多くの術を学んだ武芸者ではある)。
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