『ヴェルンドの歌』
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ヴェルンドは古エッダの『ヴェルンドの歌』に登場する。 ヴェルンドはフィンランド王の三男であり、兄弟のスラグヴィズ(Slagfiðr)、エギル(Egil)とともにウールヴダリルという所に住んでいた。あるとき「白鳥の羽衣」を脱いで水浴びをしている3人のワルキューレを見つけ、それぞれ3兄弟の妻とし、ヴェルンドはヘルヴォル・アルヴィト(Hervor Alvitr)を妻とした。しかし7年後(あるいは9年後)彼女たちは彼らの下を去った。スラグヴィズとエギルは彼女たちを追ったが、ヴェルンドは一人留まり、腕輪を数多く鍛えながら妻の帰りを待った。 スウェーデン王ニーズズ(Níðuðr)はヴェルンドの寝込みを襲い、ヴェルンドを捕らえ宝を奪った。また王妃の進言に従い、膝の腱を切り、セーヴァルスタズという島に幽閉し、自身のために宝を鍛えさせた。あるとき、ヴェルンドは鍛冶場を訪れた2人の王子を殺害し、その頭蓋骨から作った杯に銀を塗り王に、眼から作った宝石を王妃に、歯から作った装飾品を王女に贈った。また腕輪を直しに訪れた王女ベズヴィルド(Böðvildr)を酒に酔わせて襲い、子を孕ませる。その後動けるようになったヴェルンドは、王に王女の命の保証を誓わせた上で、自身の所行を明かし、空中へと飛び去って行った。 この物語の前半は白鳥処女説話(Swan maiden)の要素を含んでいる。また「彼が最も巧みな人物であったことを、私たちは古い伝承から知っている」とあるように、ヴェルンドの伝説自体は『ヴェルンドの歌』以前からゲルマン人の間に伝わっていたものである。話中には、ニーズズがヴェルンドに対し「妖精の王」と呼びかける場面もある。
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