SH-3 シーキング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/21 02:26 UTC 版)
開発
1957年、シコルスキーは全天候型哨戒ヘリコプターの開発をアメリカ政府と契約した。H-34 チョクトーの後継として対潜戦の役割も兼ねるものであった。試作機は1959年3月11日に初飛行。1961年6月にHSS-2 シーキングと命名され、アメリカ海軍で運用が決定した。
1962年、航空機の命名規則改正[注 1]によりHSS-2はSH-3に改正された。SH-3 シーキングは、主に対潜戦の任務で使用されたが、対艦攻撃、捜索救難、兵員輸送、通信、要人輸送、早期警戒など様々な用途に使用された。
民間向けのシコルスキー S-61も開発された。
設計
強力なタービンエンジン双発の大型機となったことで、これまでは捜索役と攻撃役の2機(ハンター/キラーチーム)で行わなければならなかった対潜作戦が単機で行えるようになった。開発段階で艦載機を想定していたため、メインローターブレードや尾部のテイルブームなどは折りたたむことができる構造になっている。メインローターブレードとテイルローターブレードは共に5枚である。水陸両用作戦での運用を想定して限定的な着水性能も有する。機体両側に配置されたスポンソンにはエアバッグが格納されており、着水時の衝撃緩和とフロートの役割をなす。
幅広い装備があり、それらは用途によって異なる。空母戦闘群(現 空母打撃群)での運用時は、魚雷4本と爆雷4個か空対艦ミサイル4本のいずれかを装備し、空母戦闘群を間接的に防御するためチャフを搭載した。
対潜センサとしては吊下式ソナー、ソノブイ、磁気探知機(MAD)があり、データリンクを介して得られたデータは艦隊に送信できた。捜索救難任務の際には軍医2名と22名の遭難者か、9名分の担架を搭載できた。
派生型
- XHSS-2
- 試作機。
- YHSS-2
- アメリカ海軍向け試作・評価機。
- SH-3A
- 旧HSS-2。最初の生産型。
- HH-3E
- アメリカ空軍の捜索救難機。
- CH-3A
- SH-3Aをアメリカ空軍向けに改修した機体。後のCH-3B。
- CH-3B
- アメリカ空軍の兵員輸送型機。
- VH-3A
- アメリカ海兵隊向け要人輸送型機。
- VH-3D
- アメリカ海兵隊が運用する政府専用輸送機(大統領の短距離移動機「マリーンワン」に使用される)。
- S-61
- アメリカ軍のSH-3に対するシコルスキーの型式番号。
- S-61A
- デンマーク空軍向け。
- S-61A/AH
- 測量や捜索救難など民間向け汎用ヘリコプター。
- S-61B
- 海上自衛隊のHSS-2に対するシコルスキーの型式番号。
- 詳細は「三菱-シコルスキー S-61」を参照
- S-61D-3
- ブラジル海軍向け。
- S-61D-4
- アルゼンチン海軍向け。
- S-61NR
- アルゼンチン空軍向け。
- S-61R
- アメリカ空軍(CH-3/HH-3)、イタリア空軍他向け。
- 詳細は「シコルスキー S-61R」を参照
- AS-61
- アグスタ社の型式番号。
- WS-61
- ウェストランド社の型式番号。
- 詳細は「ウェストランド シーキング」を参照
- CH-124
- ユナイテッド・エアクラフト・オブ・カナダ社の型式番号。
- ^ 1962年以前はen:1922 United States Navy aircraft designation system(1922年からの米海軍命名規則)を参照
固有名詞の分類
ヘリコプター |
WAH-64 アパッチ ベル 214ST SH-3 シーキング UH-1Y ヴェノム 読売 Y-1 |
対潜哨戒機 |
スーパーマリン ウォーラス フェアリー ガネット SH-3 シーキング SH-60 シーホーク CP-140 オーロラ |
- SH-3 シーキングのページへのリンク