JR貨物EF510形電気機関車 形態区分

JR貨物EF510形電気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/27 14:40 UTC 版)

形態区分

0番台

1号機
(2009年8月12日 / 高岡駅
12号機
(2009年3月28日 / 高岡駅

先行量産機(1号機)

2002年1月に製作された[8]。既に実用段階にあった直流電気機関車EF210形の基本設計を踏襲したことから試作機とはされず、量産を前提とした仕様の「先行量産機」とされている。新鶴見機関区に配置され、各種試験に供された。2003年末に落成した量産2号機・3号機とともに2004年3月13日から日本海縦貫線で運用を開始した[2]

外観においては、車体裾の白線の幅が広く運転室脇のJR (FREIGHT) のマークが車体中央部に寄っている。新製時の車体側面にはJRFのロゴマークのみが描かれていたが、このロゴマークは2020年令和2年)の全般検査によって消去されており、現在はロゴが描かれていないシンプルな車体外観になっている。

量産機(2 - 23号機)

2003年より製作された。先行量産機の運用成果を基に、各部に改良が見られる。

車体裾の白線は幅が狭く、車体側面にはJRFのロゴマークのほか、"RED THUNDER"のロゴマークが描かれている。なお、2020年(令和3年)11月以降は3号機を皮切りに、全般検査に応じてJRFロゴマークが消去されている。

2012年度落成機である21号機以降は、信号炎管が運転台助士側直上に移設され、後部標識灯のLED化がなされている[15]

500番台

501号機 正面
(2010年5月22日 / 大宮総合車両センター
510号機 カシオペア色
製造銘板(501号機)
川崎重工業車両カンパニーと三菱電機の2社連記となっている。

JR東日本の夜行寝台列車北斗星」「カシオペア」牽引機の更新のために、2009年から15両製作された。

0番台を基本にATS-PATS-Psとデジタル無線およびブレーキ設定器に尾久 - 上野間での客車推進運転用のスイッチを設置し、東北本線黒磯駅交直セクションを通過するための自動列車選別装置も装備していた。

0番台20号機までと比べて信号炎管が運転台助士側直上に移設、後部標識灯のLED化がなされており、500番台落成後に発注された21号機以降もこの変更に倣っている[15]

501 - 508・511 - 515号機は24系客車に準じた青い車体に流星をあしらい金色の帯を巻いた「北斗星」色、2010年(平成22年)に製作された509[16]・510号機[17]は、E26系客車に準じたシルバーメタリックの車体に流星と五本帯を入れた「カシオペア」色で落成した。

2011年(平成23年)5月20日東日本大震災で運転を中止していた「北斗星」「カシオペア」の運行再開にあたり、東北・上越・長野の各新幹線車両と同様の復興推進キャンペーンのステッカーを貼付した。

506号機 前面
506号機 側面(キャンペーンステッカー貼付前)

JR貨物売却による仕様変更

JR東日本の夜行寝台列車の全廃および貨物列車の受託解消に伴い、余剰となった501 - 508・511号機[18]をJR東日本から購入。2015年度から2016年度にかけて509・510・512 - 515号機を購入し[19]、JR東日本所属であった15両はすべてJR貨物へ売却された。外装は側面の流星マークと「EAST JAPAN RAILWAY COMPANY」のロゴが消され、東日本大震災復興キャンペーンのステッカーが外された以外は青地に金色のストライプもそのままで、車両番号の改変も行われていない[20]。なお「カシオペア」色で落成した509・510号機は上記に加えて前面の虹色ラインのステッカーも外されている。

0番台との共通化として、保安装置のうちATS-Pを撤去して貨物対応のATS-PFATS-SFに変更された。また、黒磯通過用の自動列車選別装置の車上子撤去、AW-5空気笛の操作レバー撤去、制輪子とパンタグラフ擦り板を貨物仕様に変更する等が行われた[21]

506号機
JR東日本所属時、2位側の保安装置表示はATS-P・ATS-Psの2つ
506号機
JR貨物移籍後、2位側の保安装置表示はATS-PF・ATS-SF・ATS-Psの3つに変更

300番台

301号機
(2023年11月19日 / 北九州貨物ターミナル駅
301号機 前面

2021年(令和3年)3月31日発表の2021年度事業計画で「故障による輸送障害を未然に防止するため老朽車両の取替を計画的に進め、九州地区については取替後にEF510形式機関車を導入することから、九州用に仕様変更したEF510形式の走行試験を行う」との記載がされた[22]

その後、同年10月15日発表のプレスリリースにて、九州仕様の番台区分を300番台とした[23][24]。車体色はシルバーを基調に、赤のアクセントラインと愛称のロゴが入り、ヘッドライトは白色LED式となった[25]。機器面では従来の発電ブレーキに加えて、交流回生ブレーキを追加する[25][注 2]

先行車の301号機は川崎車両での報道公開を経て、2021年12月に納車されており、2023年3月に本格導入の予定[27][7]。2023年からの数年で計17両の配備が予定されている[25][7]


注釈

  1. ^ 川崎重工業の車両事業は2021年10月に川崎車両へ継承されたため、以降は三菱電機・川崎車両での製造となる。
  2. ^ 回生ブレーキと発電ブレーキの併用は交流電化区間のみ。直流電化区間は発電ブレーキのみ使用する。[26]
  3. ^ JR東日本の車籍としては、2015年平成27年)12月8日に515号機が、翌9日に512・513号機が廃車扱いになり、JR貨物への譲渡扱いとなっている。

出典

  1. ^ 『JR貨物時刻表2022』鉄道貨物協会、2022年
  2. ^ a b 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2004年7月号RAILWAY TOPICS「JR貨物EF510形日本海縦貫線で営業運転開始」p.98。
  3. ^ 寝台特急カシオペアをEF510-501がけん引(交友社鉄道ファンサイト)。
  4. ^ 『Rolling stock & Machinery』第11巻第3号、pp.4 - 8
  5. ^ a b 『Rolling stock & Machinery』第11巻第3号、p.4
  6. ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '03年版』ジェー・アール・アール、2003年7月1日、192頁。ISBN 4-88283-124-4 
  7. ^ a b c 愛称は「銀釜」JR貨物の新型電気機関車、川崎車両兵庫工場で開発、公開 九州エリアで運行予定”. 神戸新聞NEXT (2021年12月9日). 2021年12月9日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j 『Rolling stock & Machinery』第11巻第3号、p.5
  9. ^ a b c d e 『Rolling stock & Machinery』第11巻第3号、p.6
  10. ^ a b 「EF510形式交直流電気機関車の主回路システム」 (PDF) 三菱電機技報 2004年12月号(2004年)、三菱電機
  11. ^ a b c d e 『Rolling stock & Machinery』第11巻第3号、p.7
  12. ^ a b c d e 『Rolling stock & Machinery』第11巻第3号、p.8
  13. ^ a b 菅野 崇 「JR貨物 EF510形」 - 『年鑑2003年版』 II - 1. 25 pp.96 - 98
  14. ^ 鉄道ジャーナル』2012年7月号、鉄道ジャーナル社、2012年、p.31
  15. ^ a b 『鉄道ジャーナル』2014年2月号、鉄道ジャーナルル社、2014年、p.55
  16. ^ 【JR貨+JR東】〈カシオペア〉色EF510-509 甲種輸送 ネコ・パブリッシング『鉄道ホビダス』 RMニュース、2010年7月5日
  17. ^ EF510-510が甲種輸送される」 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース、2010年7月16日
  18. ^ 『JR貨物時刻表』2014年 機関車配置表(2014年2月15日現在) - 鉄道貨物協会
  19. ^ 『JR貨物時刻表』2016年 機関車配置表 - 鉄道貨物協会
  20. ^ JR貨物機仕様となったEF510-511が姿を現す - ネコ・パブリッシング『鉄道ホビダス RMニュース:2013年9月25日
  21. ^ 『鉄道ファン』2015年2月号、交友社、2015年
  22. ^ JR貨物 九州地区にEF510形電気機関車導入へ 老朽車両の取替で”. 乗りものニュース. 2021年3月31日閲覧。
  23. ^ 九州向けEF510形式交直流電気機関車「ECO-POWER レッドサンダー」の製作について - JR貨物 2021年10月15日アーカイブ 2021年10月15日 - ウェイバックマシン
  24. ^ 九州向けEF510形式交直流電気機関車 「ECO-POWER レッドサンダー」の製作について”. JR貨物鉄道株式会社. 2022年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月26日閲覧。
  25. ^ a b c 小泉和也 2023.
  26. ^ 小泉和也 2023, p. 54.
  27. ^ JR貨物、九州向けEF510形301号機を公開 - 銀色の車体に赤いライン”. マイナビニュース (2021年12月9日). 2021年12月9日閲覧。
  28. ^ 平成19年度の車両等の設備投資について』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2006年12月13日。 オリジナルの2016年3月4日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20160304193350/http://www.jrfreight.co.jp/common/pdf/news/200612-04.pdf2016年6月5日閲覧 
  29. ^ 平成20年度の機関車の新製について』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2007年9月12日。 オリジナルの2016年3月4日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20160304193602/http://www.jrfreight.co.jp/common/pdf/news/200709-03.pdf2016年6月5日閲覧 
  30. ^ 平成21年度の機関車の新製について』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2008年6月11日。 オリジナルの2011年6月13日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20110613165947/http://www.jrfreight.co.jp/common/pdf/news/200806-02.pdf2016年6月5日閲覧 
  31. ^ 平成22年度の機関車の新製について』(PDF)(プレスリリース)日本貨物鉄道、2009年6月10日。 オリジナルの2009年8月24日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20090824014916/http://www.jrfreight.co.jp/common/pdf/news/200906-02.pdf2016年6月5日閲覧 
  32. ^ EF510-23が出場,公式試運転を実施|鉄道ニュース|2013年7月31日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 2019年2月4日閲覧。
  33. ^ 『JR貨物時刻表2017』鉄道貨物協会、2017年
  34. ^ 『JR貨物時刻表2017』鉄道貨物協会、2017年、p.244
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  58. ^ 鉄道ファン (雑誌) (2016年4月1日). “カシオペアカラーのEF510形2両が高崎へ”. railf.jp(鉄道ニュース) (交友社). http://railf.jp/news/2016/04/01/150000.html 2016年5月30日閲覧。 
  59. ^ 鉄道ファン (雑誌) (2016年4月4日). “EF510-509+EF510-510が富山へ”. 交友社. 2016年4月8日閲覧。


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