鉄道連絡船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 00:14 UTC 版)
事故
ノルウェーの1965年に建造された鉄道連絡船、スカゲラック号(Skagerak)は、1966年9月7日にノルウェーのクリスチャンサンとデンマークのヒァツハルス (Hirtshals) を結ぶ航海の途中に、荒れた海によって後ろ側の車両甲板扉を破壊された後、強風によって沈没した。1人の乗客が負傷が元で後に死亡し、6両の貨車と多数の自動車が船と共に海に沈んだ。
同様の事故は、1970年4月19日に、ケープ・ブレトン島の北東岸沖で沈んだトロール船の捜索救難活動に参加していたカナダの鉄道連絡船パトリック・モリス号(Patrick Morris)が沈んだ際にも起きている。9メートルを超える波により後部扉をもぎ取られて、船体を守るために位置を維持しようとしているところであった。30分以内に沈没して何両かの車両と4人の乗務員がカボット海峡の底へと沈んだ。生存者は47人であった。
日本の洞爺丸事故では、車両甲板扉自体を設置しておらず、ここから海水が船内に浸入した。浸入した海水は船の復原力を奪うほどの量ではなかったものの、漏水で機関が停止して操船が不可能になり、暴風雨の中で沈没につながることとなった。
鉄道連絡船は鉄道車両をレールに載せたまま輸送するという特性に関連した以下のような弱点を持っている。
- 鉄道車両を喫水線より高い位置に搭載するため、重心が上昇しトップヘビーになる。
- 車両甲板を細かく区切ることは困難であるため、侵入した水が動き回って船を不安定にする。
- 車両を出し入れする部分の扉は、船の最後尾に置かれたとしても弱点となる。
- 時化た海を航海する際には特に、鉄道車両が中で転覆してしまわないように、車両を強く固定しておかなければならない。
ミシガン州のアン・アーバー鉄道 (Ann Arbor Railroad) が、他の多くの会社でも採用された車両固定方法を開発した。スクリュージャッキが貨車の四隅に据え付けられ、貨車を若干持ち上げて車輪に掛かる荷重を減らす。チェーンとターンバックルで車両の台枠とレールが結ばれてきつく締められる。さらに輪止めを車輪にかます。担当の甲板員が航海中常に点検を行い、ターンバックルを締めなおす。この方法により、荒天下でも車両を効果的に固定しておくことができた。
五大湖では、SSミルウォーキー (SS Milwaukee) 、SSペレ・マルケット18 (SS Pere Marquette 18) 、SSマルケット・アンド・ベッセマー第2(SS Marquette & Bessemer No.2)が失われている。これらの沈没事故は、原因が不確定な点も残るが船の後部の車両搭載口が保護されておらず、激しい嵐により水が浸入したことと関係している。結果として、新造船では搭載口の扉が義務付けられ、古い船にも改造して取り付けることになった。これに加えて、五大湖では木造の鉄道連絡船2隻が火災を起こしている。
可動橋を使って搭載作業を行っている時にも事故が発生している。これは安定性が主な問題点である。鉄道連絡船は、船内の線路の片側に車両を積載していない状態で反対側の線路に重い車両を載せる時にしばしば傾く。標準の搭載作業は、片方の線路にまず半分の車両を搭載し、もう片方の線路に一杯に車両を搭載した後に、最初の線路に残り半分を搭載する。この手順が守られないと、結果は悲惨なものとなることがある。1909年、SSアン・アーバー第4(SS Ann Arbor No.4)がミシガン州マニスチーク (Manistique) の桟橋で、左舷側の線路に8両の鉄鉱石を積載した車両を搭載した際に転覆した。乗組員は脱出に成功し無事だったが、引上げ作業は費用も時間も掛かるものとなった。
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