異性化糖 普及

異性化糖

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 04:32 UTC 版)

普及

1970年代後半には、クロマトグラフィー果糖濃縮技術の出現で異性化糖の大量生産を可能とした[2]。急速に普及し、異性化糖の消費が増加し砂糖の消費を減少させた[2]。アメリカでの一人当たり消費量は、1970年代に砂糖46.2キログラム・異性化糖0.2キログラムであったが、2000年代には砂糖28.9キログラム・異性化糖29.8キログラムとなっている[2]

砂糖と共に、人類に大量の果糖を消費させており健康への影響が懸念される[2]

分類

異性化糖製品は日本農林規格 (JAS) で、以下のように制定されている。

ブドウ糖果糖液糖
果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が 50 % 未満のもの。
果糖ブドウ糖液糖
果糖含有率が 50 % 以上 90 % 未満のもの。
高果糖液糖
果糖含有率が 90 % 以上のもの。
砂糖混合異性化液糖
上記の液糖に 10 % 以上の砂糖を加えたもの。その液糖がブドウ糖果糖液糖であれば、砂糖混合ブドウ糖果糖液糖となる。

生成方法

デンプンから異性化糖を生成するには、3回の酵素反応と精製、濃縮が必要である。一方、砂糖はビートサトウキビから抽出精製して作られる。

  1. 液化
    デンプンに加水分解酵素である α-アミラーゼを加え、95 ℃ 程度に加熱する。これにより高分子のデンプンはある程度小さく分解される。
  2. 糖化
    液化終了後に 55 ℃ 程度まで冷却し、グルコアミラーゼを加える。この反応で、糖はさらに細かく分解され、ブドウ糖になる。
  3. 異性化
    60 ℃ で異性化酵素のグルコースイソメラーゼを加え、約半分のブドウ糖を果糖に変化させる。異性化糖の名称はこの反応(ブドウ糖が果糖に異性化する反応)に由来している。
  4. 精製・濃縮
    異性化後、液糖をろ過機やイオン交換装置で精製し、水分を蒸発させて濃縮することにより、果糖分 42 % のブドウ糖果糖液糖が得られる。さらに、クロマトグラフィーによって果糖純度を高めることができ、果糖分 90 - 95 % の高果糖液糖を作ることができる。これを果糖分42 %のブドウ糖果糖液糖とブレンドすることで果糖分55 %の果糖ブドウ糖液などが作られる。

甘味度

糖と甘味料の相対的な甘さ

砂糖の甘味度(甘みの強さ)を 100 とすると、ブドウ糖の甘味度は 65 – 80、果糖は 120 – 170 で、甘味度の強さは 果糖 > 砂糖 > ブドウ糖 の順である。そのため、果糖分 42 % のブドウ糖果糖液糖の甘味度は 70 – 90、果糖分 55 % の果糖ブドウ糖液糖は 100 – 120 である。ただし、果糖は高温では砂糖の 60 % の甘味度しかなく、40 ℃ 以下でないと砂糖よりも甘くならないので、異性化糖の甘さは温度によって大きく左右される。




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