漸近線 媒介変数表示された曲線の漸近線

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漸近線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/08 14:27 UTC 版)

媒介変数表示された曲線の漸近線

(sec(t), cosec(t)) は、水平方向と垂直方向にそれぞれ2本ずつ漸近線を持つ。この曲線は x2 + y2 = (xy)2陰関数表示できる。

媒介変数表示された平面曲線

を考える(ここで、α−∞ でもよく β でもよい)。曲線 C無限遠点に向かう、すなわち

が成り立つことを仮定する。直線 l が曲線 C の漸近線であるとは、tβ のとき点 C(t) と直線 l の距離が 0 に収束することと定義される[5][6]

一般に、点 C(t) = (x(t), y(t)) と直線 l : ax + by + c = 0 の距離は

で与えられるので、直線 l が曲線 C の漸近線であるとは、

が成り立つことと同値である。曲線の媒介変数表示は一意ではないが、漸近線の定義はその取り方に依らない。実際、γ(t) を媒介変数の取り換えとすると、(∗∗)

と同値であるからである。

実一変数の実数値関数グラフは、媒介変数表示された平面曲線の特別な場合と考えることができる。関数 y = f(x) のグラフは点 (x, f(x)) の集合であり、x を径数 t とすれば、径数付け(の一つ)

が得られる。

例えば、曲線 y = 1/x の右上の枝は媒介変数 t により x = t, y = 1/t (t > 0) と表示できる。まず、t → ∞ のとき x → ∞ であり、曲線上の点と x軸の距離 1/tt → ∞ のとき 0 に収束する。したがって、x軸は曲線の漸近線である。また、t → 0+ のとき、y → ∞ であり、このとき曲線上の点と y軸の距離 t0 に収束する。したがって y軸も漸近線である。同様に、曲線の左下の枝も同じ2本の直線が漸近線であることが示される。

関数のグラフでは、垂直でない漸近線は x → ±∞ にそれぞれ高々1本ずつに限られるが、媒介変数表示から定まる一般の曲線は、垂直でない漸近線を3本以上持つこともあるし、1つの垂直な漸近線と2回以上交わる場合もある。


  1. ^ "Asymptotes" by Louis A. Talman
  2. ^ 数研通信80号(2014年9月) (PDF)
  3. ^ Williamson, Benjamin (1899), “Asymptotes”, An elementary treatise on the differential calculus, https://books.google.co.jp/books?id=znsXAAAAYAAJ&pg=241&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false 
  4. ^ Nunemacher, Jeffrey (1999), “Asymptotes, Cubic Curves, and the Projective Plane”, Mathematics Magazine 72 (3): 183–192, doi:10.2307/2690881, JSTOR 2690881, https://jstor.org/stable/2690881 
  5. ^ 青本和彦、上野健爾加藤和也神保道夫『岩波 数学入門辞典』岩波書店、2005年9月29日。ISBN 978-4000802093 
  6. ^ Pogorelov, A. V. (1959), Differential geometry, Translated from the first Russian ed. by L. F. Boron, Groningen: P. Noordhoff N. V., MR0114163 , §8.


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