心理学 心理学の概要

心理学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 06:44 UTC 版)

心理学しんりがくは、科学的な手法によって研究される行動の学問である[1][2][3]。そのアプローチとしては、行動主義のように行動認知を客観的に観察しようとするものと、一方で、主観的な内面的な経験を理論的な基礎におくものとがある[4]。研究法を質的研究量的研究とに大別した場合、後者を主に学ぶ大学では、理数系学問として心理学を位置付けている。

起源は哲学をルーツに置かれるが、近代の心理学としては、ドイツのヴィルヘルム・ヴントが「実験心理学の父」と呼ばれ、アメリカのウィリアム・ジェームズも「心理学の父」と呼ばれることもある[5]。心理学の主な流れは、実験心理学の創設、精神分析学行動主義心理学人間性心理学認知心理学社会心理学発達心理学である。差異心理学は人格や知能、性などを統計的に研究する。

20世紀初頭には、無意識と幼児期の発達に関心を向けた精神分析学、学習理論をもとに行動へと関心を向けた行動主義心理学とが大きな勢力であったが、1950年代には行動主義は批判され認知革命がおこり、21世紀初頭において、認知的な心的過程に関心を向けた認知心理学が支配的な位置を占める[6]。 現在の心理学の停滞は、『心』という働きと、『神経』という物質的構造を混同した、ドイツのヴィルヘルム・ヴントに端を発しているとも言われている。このことが、心理学を複雑化させ停滞させている主な要因だとの見解も存在する。


  1. ^ a b How does the APA define "psychology"?”. 2015年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月4日閲覧。
  2. ^ a b ヒルガードの心理学第15版 2012, p. 6.
  3. ^ a b c 心理学大図鑑 2013, p. 10.
  4. ^ ケン・ウィルバー、松永太郎訳『統合心理学への道』春秋社、2004年、10-11頁。ISBN 4-393-36035-4 
  5. ^ a b c d 心理学大図鑑 2013, pp. 目次, 35, 45.
  6. ^ a b 心理学大図鑑 2013, pp. 158–159.
  7. ^ 大槻快尊・述 1912, p. 4.
  8. ^ 加藤信明「アリストテレス『魂について』」『精神医学文献事典』弘文堂、2003年、12-13頁。ISBN 978-4-335-65107-6 
  9. ^ 心理学大図鑑 2013, pp. 20–21.
  10. ^ 心理学大図鑑 2013, p. 34.
  11. ^ a b 心理学大図鑑 2013, pp. 22–23.
  12. ^ a b c d e 心理学大図鑑 2013, pp. 58–59.
  13. ^ a b c d J.A.C.ブラウン、(翻訳)宇津木保、大羽蓁『フロイドの系譜―精神分析学の発展と問題点』誠信書房、1982年、28-29、42-43、59-60、92-93頁。ISBN 441442710X  Freud and the Post-Freudians, 1961
  14. ^ 中河原通夫「アードラー『人間知』」『精神医学文献事典』弘文堂、2003年、6-7頁。ISBN 978-4-335-65107-6 
  15. ^ 水野信義「コフート『自己の分析』」『精神医学文献事典』弘文堂、2003年、185頁。ISBN 978-4-335-65107-6 
  16. ^ 心理学大図鑑 2013, p. 80.
  17. ^ 心理学大図鑑 2013, p. 77.
  18. ^ 心理学大図鑑 2013, pp. 294–296.
  19. ^ a b 浅井直樹「ロジャース『カウンセリングとサイコセラピィ』」『精神医学文献事典』弘文堂、2003年、534頁。ISBN 978-4-335-65107-6 
  20. ^ 心理学大図鑑 2013, pp. 288–289.
  21. ^ a b 久保田正春「セリエ『現代社会とストレス』」『精神医学文献事典』弘文堂、2003年、251頁。ISBN 978-4-335-65107-6 
  22. ^ 内山真「アショフほか『ヒト概日リズムの脱同調』」『精神医学文献事典』弘文堂、2003年、2-3頁。ISBN 978-4-335-65107-6 


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