国鉄485系電車 構造

国鉄485系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/23 09:25 UTC 版)

構造

※本項では基本構造について解説を行う。詳細な設計変更は各項目を参照のこと。

車体

外観は151系の流れを踏襲しており、制御車先頭部は同様のボンネット型を採用した。ただし1972年以降製造の中期型では、ほぼ同時期に登場した183系と同様のデザインに変更されたため定員が8人増加した。

床下機器の寸法に合わせ床面の高さを近郊形・急行形の車両よりも10 mm高い1230 mmとし、屋根高さも151系に比べて120 mm高くなった。運用路線のプラットホーム高さに合せるべく扉にはレール面970 mmの高さにステップを設置し、東北・北陸などの寒冷地区投入を考慮した耐雪耐寒構造で製造された。また、側扉は当初は普通鋼製であったが、1968年以降の製造車は内側が無塗装のステンレス製に変更された。

サービス面では側面行先表示に当初は従来通りサボを使用したが、481系・483系では電動自動巻取式方向幕搭載準備工事が国鉄車両としては初めて施工され、1968年以降製造された485系では新製時より搭載された。表示器は当初18コマ、中期型以降は40コマ対応となり後に後者へ統一された。

冷房装置は、初期型ではAU12形分散式冷房装置1基ないし2基をキノコ形ケース[注 2]に収め先頭車は5基、中間車は6基を屋根上に搭載する。ただしモハ480形・モハ482形・モハ484形・モハ488形は、パンタグラフや交流機器などの艤装スペースとの関係からAU12形は3基搭載に制限され冷房能力が不足するため車内機器室に床置形のAU51形を3基搭載する。しかし中期型以降では大幅に変更された(詳細は後述)。

主要機器

制御方式は、直流電化区間では架線電源をそのまま使用し、交流電化区間では変圧器で降圧後に整流器で直流にする401系・421系からの一貫した間接式の機器構成を踏襲したMM'ユニット方式による抵抗制御を採用。M車には山岳区間での使用も考慮して抑速ブレーキを搭載した自動ノッチ戻し機構付きのCS15系制御装置を、M'車には交流区間で直流電源を供給する主変圧器・主整流器などの機器を搭載するが、対応する商用周波数や製造時期などにより、若干の差異がある。

主電動機は定格出力120 kWのMT54系直流直巻電動機を特急形電車としては初めて搭載した[4]。歯車比22:77(1:3.50)によりMT比1:1でも20 程度の勾配を登坂可能で経済性が向上し最高運転速度は120 km/hとされた。

DT32E形動力台車
TR69H形付随台車

台車は揺枕吊を廃止したインダイレクトマウント式空気ばね台車DT32A形を電動車に、TR69A形を付随車に装着。増備中に何度か改良型へのマイナーチェンジも実施した。

パンタグラフは設計段階でBT饋電方式の交直・交交セクション通過時トラブルを懸念して1基搭載案があったものの[5]直流区間では離線対策から2基搭載使用となった[注 3]。国鉄末期以降は、130 km/h運転を実施していた湖西線を除いて架線の損耗減少対策から原則として第2パンタグラフの使用中止もしくは撤去した。ただしJR東日本の一部車両では架線取のため2基使用する。

編成全体のサービス電源用電動発電機(MG)ならびに空気圧縮機(CP)は、調理用電熱器による電力消費量確保のため食堂車サシ481形が自車給電用として定格容量70 kVAのMGを床下搭載する以外は、151系の騒音発生源を客室からできるだけ遠ざけるという設計思想をそのまま反映し、MG・CPとも先頭となる制御車のボンネット内に搭載された。容量ならびに搭載位置は製造年次で異なるほか、制御車の形状変更や後の3MG・CP化により付随車にも搭載されたほか、1980年代半ば以降は短編成化によりMG・CP未搭載のクハ480形や廃車発生品のMG・CPを搭載する改造車番台区分も存在した。

  • 詳細は各系列・改造車の項目を参照のこと。
481系電車・483系電車・485系電車・489系電車主要機器相違
系列 主制御器 主変圧器 主整流器 主電動機 制御車電動発電機 食堂車電動発電機 空気圧縮機
481 CS15B TM10 RS22 MT54B MH93-DM55A MH94B-DM58 MH92B-C3000A
483 TM9
485 CS15E
CS15F
TM14
TM20
RS22A
RS40A
RS45A
RS45B
MT54B
MT54D
MH93-DM55A
MH129-DM88
SC54
MH92B-C3000A
MH113-C2000
489 CS15G RS22A MH129-DM88
備考
  • CS15F形主制御器:1971年以降の製造車が搭載
  • TM20形主変圧器・RS40A形主整流器:1974年以降の製造車が搭載
  • RS45A形主整流器:モハ484-1010・1012・1014・1016・1018・1020・1022・1024が搭載
  • RS45B形主整流器:モハ484-1081 - 1088が搭載
  • MT54D形主電動機:1972年以降の製造車が搭載
  • MH93-DM55A形電動発電機:容量150 kVA 1970年製造車まで搭載
  • MH129-DM88形電動発電機:容量210 kVA 1971年以降の製造車が搭載
  • SC54形SIV:容量210 kVA 3000番台改造車が搭載
  • MH92B-C3000A形空気圧縮機:容量2,950 L/min 初期型ボンネット車が搭載
  • MH113-C2000形空気圧縮機:容量2,100 L/min 中期型車以降が搭載







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