亜種
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 21:21 UTC 版)
語
subspecies
語源にあたる subspecies は、学術的に考案された現代のラテン語(新ラテン語)であり、英語でもある。ラテン語発音の日本語音写をあえて試みるなら「スブスペキエース」となる。しかし広く通用しているのは英語読みで、その音写形は、イギリス英語発音 [sʌ́bspìːʃiːz] は「サブスピーシーズ[4]」、アメリカ英語発音 [sʌ́bspìʃiz] は「サブスピシズ[4]」である。
略号
略号として subsp. [5]と ssp. [6]がある[3]。用法については「略号の用法」を参照のこと。
subspecies name
subspecies name(日本語音写例〈以下同様〉:サブスピーシーズ ネイム、ほか)は「亜種の学名」を指す学術的国際共通語(英語名)[3]。日本語では「亜種名」という[3]が、下記のとおり、「亜種名」は複雑な多義語の様相を呈している。
- 例:Homo sapiens sapiens 。
subspecific name
subspecific name(サブスピシフィク ネイム)は、「亜種の種小名」を指す学術的国際共通語(英語名)[3][7]であり、動物学で用いられる。日本語では「亜種小名」[3]というほか、「亜種名」ともいうが[7]、学術的国際共通語ではここに列記した全ての用語は明確に区別されている[3][7]。
- 例:Homo sapiens sapiens では最後の sapiens がこれにあたる。
subspecific epithet
subspecific epithet(サブスピシフィク エピセトゥ)は、「亜種の形容語」を意味する学術的国際共通語(英語名)[3][7]であり、植物学や細菌学で用いられる[7]。日本語では、植物学で「亜種小名」[3][7]、細菌学で「亜種形容語」[7]というほか、「亜種名」ともいうが[7]、学術的国際共通語ではここに列記した全ての用語は明確に区別されている[3][7]。
亜種
日本の学術用語「亜種」は、[ ja:〈分類学上の〉亜 (= la: sub-) +〈分類学上の〉種 (= la: species) ]という語構成になっており、つまりは、リンネ式分類階級上の「種」の下に位置付けられることを含意している。
亜種名
日本の学術用語「亜種名(あしゅめい)」は、「亜種の名」の意味で、上述した subspecies name を指すほか、subspecific name にも subspecific epithet にも用いられる。
亜種小名
日本の学術用語「亜種小名(あしゅしょうめい)」は、「亜種の小名」の意味で、動物学では subspecific name を、植物学では subspecific epithet を指す。
亜種形容語
日本の学術用語「亜種形容語(あしゅけいようご)」は、「亜種の形容語」の意味で、細菌学における subspecific epithet を指す。
基亜種
日本の学術用語「基亜種(きあしゅ)」は、「新種記載を行う際に、その生物を定義するための記述の拠り所となった亜種」の意味で、タイプの一種。原亜種、原名亜種、名義タイプ亜種とも呼ばれる。これらの名称には「基」や「原」とつくため、分化の元となった亜種と解釈されがちであるが、原種という意味ではなく、俗にタイプ標本として提出された個体の亜種のことと解釈される。正確には種に複数の亜種がいるときに、その種が学会に発表されたときにその種のタイプ標本として提出され、かつ新種記載のとき拠り所とされた個体が属する亜種のことを指す。一般に基亜種はその種の亜種のうち最も古くに記載された亜種が採用されるが、新種記載時に複数の亜種が同時に発表されたときは、一般にその種なかで最も分布域が広いまたは個体数が多い亜種が選ばれる。このため、種が発表されたのちに複数の亜種が確認された場合、基亜種が他の亜種より世間一般的に知られていないことがある。基亜種の亜種小名は種小名と同一となる。
注釈
出典
- ^ a b 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』. “亜種”. コトバンク. 2020年5月22日閲覧。
- ^ a b 中根猛彦(cf. 日本の研究.com[1])、小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “亜種”. コトバンク. 2020年5月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “亜種”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2020年5月22日閲覧。
- ^ a b c d “subspecies”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2020年5月22日閲覧。
- ^ a b “subsp.”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2020年5月22日閲覧。※用例として学名の記載多数あり。
- ^ a b “ssp.”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2020年5月22日閲覧。※用例として学名の記載多数あり。
- ^ a b c d e f g h i j “subspecific”. 英辞郎 on the WEB. アルク. 2020年5月22日閲覧。
- ^ a b ICZN (1999), p. 4.
- ^ a b c “Homo sapiens subsp. 'Denisova'”. NCBI taxonomy database. NCBI. 2020年5月22日閲覧。
- ^ “亜種”. コトバンク. 2020年5月22日閲覧。
- ^ 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “亜種”. コトバンク. 2020年5月22日閲覧。
亜種と同じ種類の言葉
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