リック・ドム
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ドム・バインニヒツ
ゲーム『SDガンダム GGENERATION ギャザービート』が初出(型式番号:MS-09F/Bn)。
ドム・フュンフのバリエーション機とする資料[35]、リック・ドムの高機動型とする資料がみられる[36]。バインニヒツはドイツ語で足なしを意味する。脚部を廃して高機動スラスターと換装しており、宇宙空間での機動性はMAにも匹敵する。モノアイは頭頂部まで動かすことができる。コクピットは腰部にある。
他の機体のパーツを流用するなど生産性も考慮されたが、設計段階で終戦を迎えたため、実機は建造されなかった。
デザインは片桐圭一郎が担当した[36]。
ドム・グロウスバイル
ゲーム『SDガンダム GGENERATION ギャザービート』が初出(型式番号:MS-09F/Gb)。
グロウスバイルはドイツ語で大ナタの意。格闘戦に特化した機体でMS本体に匹敵するほど巨大なスラスター付きヒートサーベルと小型のヒートナイフのみを装備し、射撃武器は一切搭載していない。ドム・バインニヒツとのセット運用が計画されていたが、設計段階で終戦を迎えたため、実機は建造されなかった。
『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』では、ア・バオア・クー戦にてギー・ヘルムート搭乗のリック・ドムIIに本機の巨大なスラスター付きヒートサーベルが受領され運用した。
ドワス
プラモデル「フルカラーモデル リック・ドム」の組立説明書の挿絵に(背面のみ)描かれた、MS-09シリーズの最終生産型(型式番号:MS-09S[10])。
高機動戦闘を目的として開発された機体で、バックパックのスラスター出力が強化されている。実戦を経験せずに終戦を迎えたが、機体はアナハイム・エレクトロニクス (AE) 社にわたり、後のリック・ディアスの原型となった[10][注 10]。資料によっては実在を疑われる機体ともされる[38]。
大型化したバックパックと刀状のヒートサーベルを持ち、リアスカートの上面にはスラスターが増設されて、頭部にはバルカン砲のようなパーツが描かれている。
雑誌「MJ(模型情報)」で連載されたメカニックデザイン企画『F.M.S』では、ドワス・デザートという同名の系列機が登場している。
ドワス改
ドワス改 DOWAS CUSTOM | |
---|---|
型式番号 | MS-09SS |
所属 | アクシズ |
頭頂高 | 18.6m |
本体重量 | 42.6t |
全備重量 | 61.2t |
装甲材質 | チタン・セラミック複合材 (一部第三世代ルナ・チタニウム合金) |
出力 | 1,360kW |
推力 | (総推力)65,000kg |
センサー 有効半径 |
5,400m |
武装 | 胸部バルカン×2 高出力型ビーム・バズーカ 胸部拡散ビーム砲 ヒート・サーベル |
搭乗者 | アンディ |
矢立文庫のWeb企画『アナハイム・ラボラトリー・ログ』に登場するドワスの改良型。
宇宙世紀0084年にアクシズからAE社へ届けられ、リック・ディアスの開発母体になった。設定上リック・ディアスから逆算したようなデザインとなっている。ドワスのリック・ドムに対し、ドワス改はリック・ドムIIやドム・フュンフがデザインの基(準拠)になっている。
装甲は第三世代ルナ・チタニウム合金に変更され、機動性やジェネレーター出力も向上している。
移送任務ではガンダリウム合金のサンプルを所持するサングラスをかけた金髪の青年の囮となり、アンディの乗機として高機動型ガルバルディα(リカルド機)等の僚機と共に、ティターンズ部隊をグラナダ宙域で殲滅した。移送されたドワス改は赤色にペイントされているが、アンディ曰く「大佐」の機体らしく、色に付随するネームバリューも敵の目を引き付けるには適している。
シュネー・ヴァイス
漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』に登場。アクシズの試作型ニュータイプ専用MSである(型式番号:MS-09R4またはMS-09RN)。
本機は旧ジオン軍のMAエルメスで実用化されたビットをMSで運用すべく、リック・ドムをベースに大幅に改修した機体である。そもそもMAという大きな機体に搭載されていたサイコミュシステムをMSへと搭載しようとしたため、背部に接続されたサイコミュ・コントロール・ユニットだけでもMSに匹敵する巨大なものとなってしまった。それでもエルメスの1/3の大きさに小型化されてはいる。
ビットは機体には搭載されず、ビット・キャリアーと呼ばれる装置を母艦から射出し運用する。このビット・キャリアーもまたMS大程の巨大なもので、MS側からの指令により内部に搭載された8基のビットを射出し、オールレンジ攻撃を行う。サイコミュ・コントロール・ユニット装着時は固定武装を持たないが、バックパックを換装することでヒートサーベルの使用が可能である。
脚部は宇宙戦に特化した形状となっており、バックパックにもスラスターを有してはいるが、重いサイコミュ・コントロール・ユニットによりMSとしての運動性は従来のものを下回る。そのため、非常時(ビット使用不可等の状況)ではバックパック及びショルダーブロックを切り離すこともできる。加えて、姿勢制御スラスターの出力を向上させる(従来より120%向上)など運動性能の改善が図られたものの十分でなく、MSにサイコミュを搭載する本来の目的を達成できずにいた。このことがビットシステムの根本的な見直しであるファンネルの開発に繋がっていったとも考えられる。
なお、本機のテストパイロットは後のアクシズの実質的指導者ハマーン・カーンが務めていた。シュネー・ヴァイス(Schnee Weiss)とは、ドイツ語で「雪の白」のこと。
- 劇中での活躍
- 作品上ではバックパックを外した状況でジム・コマンド(アムロ・レイの射撃回避運動がプログラム化されインプットされていた改造型)との戦闘シーンがある。この際はスクランブル発進により武装はヒートサーベルだけであり、その性能を十分に発揮できる状況ではなかった。結果的に辛くも勝利は収めたものの直後の2機のジムとの戦闘においては数的不利もありハマーンは捕虜となってしまう。宇宙世紀0083年7月にアクシズ内で勃発した強硬派によるクーデター騒動においても、ハマーン機として投入されたが、強硬派の擁する後継機トゥッシェ・シュヴァルツとの交戦時には性能差は否めず、中破している。
トゥッシェ・シュヴァルツ
漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』に登場。アクシズの試作型ニュータイプ専用MSである(型式番号:MS-09RN-2)。
本機はシュネー・ヴァイスの後継機であり、対照的に黒く塗装されている。トゥッシェ・シュヴァルツ(Tusche Schwarz)とは、ドイツ語で「墨の黒」という意味で、シュネー・ヴァイスとの対比になっている。サイコミュ・コントロール・ユニットはその大きさと過重性に問題があったが、サイコミュ・システムの運用方法を見直し再構築することで小型化に成功。ビット・キャリアーを介することなくMSへの内装を実現している。また、ビットはより小型化したショートビットに変更したため、搭載数は12基に増加している。しかし、当の再構築したサイコミュ・システムが完成されておらず、ビットコントロールの困難さや薬物投与によるシステムへの適応など、かえって搭乗者に高い負荷を与える結果となった。
本機の運用実験から得られたデータを元にキュベレイの開発に繋がったとされている。
- 劇中での活躍
- アクシズでの挙兵に備え、強硬派のエンツォ・ベルニーニ大佐によって極秘に開発され、宇宙世紀0083年7月に勃発した強硬派によるクーデター騒動において主力機と運用された。テストパイロットのレベッカ・ファニング少尉が搭乗するが、戦闘中にサイコミュ・システムからの高い負荷により心身が崩壊したため、代わりにヤヨイ・イカルガ伍長が搭乗し、ハマーンの駆るシュネー・ヴァイスも圧倒するが、リカルド・ヴェガの説得の隙を突いたハマーンによって撃破された。
注釈
- ^ 『機動戦士ガンダムΖΖ』第1話「プレリュードΖΖ」のクワトロ・バジーナの解説より。
- ^ ドムは陸戦用ではあるものの、その基本設計は良好であったため、空間戦闘用として再開発された[6]。
- ^ ただし、このプランそのものはゲルググが本命であり、他の計画はそのつなぎに過ぎなかった。そのため、ゲルググの開発完了に伴い、他の機体の生産設備はゲルググのものに切り替えられた[8]。
- ^ 開発の折には地上用機体の生産ラインを転用可能であったため、そのコストは低く抑えられた[9]。
- ^ ドムでは熱核ジェット・ロケットエンジンが導入されていたが、それに代わって純ロケットを採用したと記述している資料もみられる[2]。
- ^ 12機撃墜の内訳は、アムロのガンダムが9機、カイのガンキャノンが1機、スレッガー・ロウとセイラ・マスのGファイターがそれぞれ1機である。
- ^ 正しくは「怪盗リュックサック」。1971年のバラエティ番組『テレビはこれだ!ドラマが3つも』内の第2部「大活劇カンチョーマン」に登場。
- ^ ザクと比較して接近戦の脆さが顕著だったともいわれる[20]。
- ^ ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』の公式サイトでも、外観からリック・ドムIIがベースとして利用されていたと思われている[26]。
- ^ 一方、ドワス改がリック・ディアスの原型になったとする媒体もみられる[37]。
- ^ 小松左京のSF小説・映画『さよならジュピター』に同名の宇宙船が登場する。
出典
- ^ a b c d e f 『MG 1/100 リック・ドム』バンダイ、1999年10月、組立説明書。
- ^ a b c d e f g 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、40頁。ISBN 4-87777-028-3
- ^ a b c d e f 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日初版発行、52-53頁。(ISBN 4-89189-006-1)
- ^ a b c d 『講談社のポケットカード8 機動戦士ガンダム モビルスーツコレクション』(1982年)
- ^ a b 『B-CLUB VISUAL COMIC 機動戦士0080 ポケットの中の戦争 VOL 2』バンダイ、1989年9月、ISBN 4891890479
- ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、17頁。ISBN 978-4063721768
- ^ a b c 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』バンダイ、1989年2月20日初版発行、42頁。(ISBN 4-89189-006-1)
- ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、72-73頁。ISBN 978-4063721768
- ^ 「040 リック・ドム」『機動戦士ガンダムMSV COLLECTION FILE 宇宙編』講談社、1999年11月。(ISBN 4-06-346550-0)
- ^ a b c 『1/144 フルカラーモデル リック・ドム』バンダイ、1988年7月、組立説明書。
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- ^ 『映画秘宝』関係者の中にいたガンダム野郎編「第4章 脱出 そして、ディープ・ガンダムの世界へ あなたの疑問に素早く回答! 『機動戦士ガンダム』なぜ?なに?質問箱 リック・ドムの"リック"ってどんな意味?」『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』洋泉社、1999年4月9日、ISBN 4-89691-379-5、209頁。
- ^ 『ガンダムエース』2012年3月号、角川書店、525頁。
- ^ a b 『SDガンダム ジージェネレーション ウォーズ 公式コンプリートガイド』バンダイナムコゲームス、2009年9月、396頁。ISBN 490237224X
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- ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツ開発秘録』竹書房、2009年7月2日、178-180頁。ISBN 978-4-8124-3869-5。
- ^ 『SDガンダム GGENERATION-F.I.F パーフェクトガイド+MS名鑑』ソフトバンク パブリッシング、2001年7月、191頁。
- ^ 『HG ドム試作実験機』解説書、バンダイ、2016年2月。
- ^ 一目でわかるアムロとシャアの軌跡 2024.
- ^ 『マスターグレード MS-14A「ゲルググ(アナベル・ガトー専用機)」』説明書、2003年2月。
- ^ 『機動戦士ガンダムMS大全集2013』(アスキー・メディアワークス、2012年12月、50頁。ISBN 978-4048912150
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- ^ 『ADVANCE OF Ζ 〜ティターンズの旗のもとに〜Vol.2』メディアワークス、2003年12月、87頁。ISBN 978-4-84-022589-2
- ^ “リック・ドム[シュトゥッツァー]”. 『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』公式サイト. バンダイナムコエンターテインメント. 2022年10月6日閲覧。
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- ^ a b c d e f g 『1/144 リック・ドムII』バンダイ、1989年5月、組立説明書。
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- ^ 昼MSリックドムII0083 2021.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “Special - 機動戦士ガンダム0083 新作ピクチャードラマ「宇宙の蜉蝣2」”. 機動戦士ガンダム0083. 創通・サンライズ. 2016年1月29日閲覧。
- ^ 「U-97 ドム・バインニヒツ」『ガンダムウォー 新世紀の鼓動』バンダイ、2001年2月、収録カードの記述。
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- ^ a b c d e f g h i j k l m n o 関西リョウジ『機動戦士ガンダムUC プリズマティック・モビルズ part2』角川書店、2016年7月、138-139頁。ISBN 978-4041046685
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