ミズバショウ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/24 02:01 UTC 版)
利用
葉などの汁にはシュウ酸カルシウムが含まれ、肌に付くとかゆみや水ぶくれを起こすことがある。
根茎はかつて腎臓病や便秘などの民間薬として利用されたこともあるが、薬効についての根拠はなく、逆にアルカロイドが含まれているため、服用すると吐き気や脈拍の低下、ひどい時には呼吸困難や心臓麻痺を引き起こす危険があるので利用は禁物である。ツキノワグマはミズバショウの葉や花を食用とする場合があるが、これは冬眠後などに体内の老廃物等を排出するための嘔吐剤・下剤として食べるためであり、人間は絶対に真似してはならない。
切手の意匠になった。
地方名
- ベコノシタ(北海道・葉が牛の舌に似る)
- ヘビノマクラ(北海道・花序を蛇の枕に見立てる)
- パラキナ(北海道・アイヌ語で幅の広い葉)
- ウシノクチヤ(石川県白山・ザゼンソウも同じ異名で呼ぶこともある)
特徴的な個体変異
種としてのミズバショウは一種とされるが、いくつかの地域によく見られる個体変異が知られている。ただし、いずれもその地域に固有のものではなく、そのような変異個体がよく見つかるといったレベルの現象である。
- フイリミズバショウ(斑入り)
- 仏炎苞が2枚ある個体
- 岩手県小岩井農場の個体群では、一つの花茎に大小2枚の仏炎苞が多く見つかるという。
- オバケミズバショウ
- 尾瀬を始め各地で見られる。いずれも大きく成長したものである。とくに尾瀬の個体群では、自生地の富栄養化の問題を象徴するものとして広く知られている。しかしながら、もともとミズバショウは数十年に及ぶ寿命を持ち、十分に成長した個体は1m以上の葉を持つことがある。また、観光地化されていない地域個体群(あるいは富栄養化が議論されていない自生地)でも普通に見られるので、富栄養化の影響は否定できないものの、オバケミズバショウを富栄養化問題からの視点だけで議論するのは適切ではない。
- 山形県真室川町沼ノ平には、古くから大きなミズバショウが群生していたとされる。地元には、江戸時代に新庄藩主が「六尺(約1.8m)の水芭蕉がある」とお国自慢していたという伝承がある。
種の保全状況評価
日本の以下の都道府県で、以下のレッドリストの指定を受けている[5]。2007年8月現在、環境省のレッドリストの指定はない[6]。上信越高原国立公園・中部山岳国立公園・白山国立公園などで自然公園指定植物となっている[7]。
- ^ a b c 高山植物 (1989)、584-585頁
- ^ 新・花の百名山 (1997)、283-286頁
- ^ 花の百名山地図帳 (2007)、90-93頁
- ^ “TSUGAIKE”. Otari-mura Tourism Federation. 2019年4月2日閲覧。
- ^ “日本のレッドデータ検索システム(ミズバショウ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2011年12月27日閲覧。
- ^ “植物絶滅危惧種情報検索”. 生物多様性情報システム (2007年8月3日). 2011年12月27日閲覧。
- ^ “国立・国定公園特別地域内指定植物(サトイモ科・ミズバショウ) (PDF)”. 環境省自然環境局. p. 10. 2011年12月27日閲覧。
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