フレームレート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 03:28 UTC 版)
概要
指標
動画の処理全般で、映像信号や映像機器の規格の仕様、性能の目安、伝送に要求される通信路容量の計算、などにフレームレートは使われる。コンピュータグラフィックス (CG)を用いた映像編集における処理・出力で求められるフレームレートは、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの性能により左右される[2]。
媒体や規格によって、フレームレートはさまざまに異なる。主な在来媒体のフレームレートは以下の通り[1](コマ (映画・漫画)#その他の映像のコマも参照)。
- 23.976 fps - 映画等のフィルムのコマ数の換算。コンピュータでは24 fpsで置き換える場合がある。
- 25 fps - PAL規格のコンポジット映像信号。ヨーロッパ、オーストラリアなどのアナログテレビ放送・ビデオソフトなど。
- 29.97 fps - NTSC規格のコンポジット映像信号。日本、北米などのアナログテレビ放送・ビデオソフトなど。コンピュータでは30 fpsで置き換える場合がある。人間の視覚に近いとされる[2]。
- 50 fps - 上記のPAL規格に準じ、秒あたりのコマ数が倍になった(より滑らかな質感の)映像。
- 59.94 fps - 上記のNTSC規格に準じ、秒あたりのコマ数が倍になった(より滑らかな質感の)映像。ISDB規格(プログレッシブ方式)など。コンピュータでは60 fpsで置き換える場合がある。
技術革新が進み、各機器で60 fps以上の動画作成および再生が可能になっている[2]。
フレームレート変更処理をコンバートと呼ぶ。映像のコンバート参照。あえてフレーム数を落とす映像効果(シネマエフェクト)などに用いられる。
臨場感と快適性
日本のテレビ放送は30 fpsのため、日本人はこれ以上であれば違和感を感じないとされる[2]。
オンライン会議では15 fps程度あれば違和感を覚えないとされる[2]。
YouTubeではアップロードする動画のフレームレートに関して「24~60 fps」を推奨している[2]。
人間の視覚特性において解像度で臨場感が向上するのは4320pが上限であるが、フレームレートによる向上は240fpsが上限とされることから、4320pディスプレイの実用化以降は、フレームレートの向上に技術開発のトレンドが移ると予測されている[3]。
走査とフレームレート
表示装置の走査方式がプログレッシブ・スキャンであればリフレッシュレートと同じ値になるが、NTSCのテレビ放送など、走査方式がインターレースの場合、フレームレートはリフレッシュレートとは一致しない。
NTSCなどでは、2:1インターレースのため、1つのフレームは、2つのフィールドからなっている。したがって求められるリフレッシュレートは表示したい映像のフレームレートの2倍となる。同じフレームレートで比較すれば、プログレッシブ・スキャンよりインターレースの方が、ヒトの視覚上は滑らかに見える。
ある低いフレームレートの映像媒体を、より高いフレームレートが求められる機器で再生する場合、表示側でちらつきや音ズレなどの不具合を感じさせないように、元のフレーム内容を動かさないままで、高いレートに合わせてフレームを再分割する処理を行う必要がある。フィルム (23.98fps)作品をテレビ (29.97fpsなど)で放送するための処理例はテレシネ#フレームレートと走査方式を参照。
ビデオカメラや、初期世代のコンピュータ・ゲーム機などでは、単純にリフレッシュレートに合わせて処理すれば済んだ(映像信号伝送のための同期信号)。しかし、各機器が高処理化・デジタル化するに従い、リフレッシュレートと同等の頻度で、バックエンドで必要な処理が増えるに至った(任天堂のファミコンなどのようにスプライトベースで信号を生成するのに対し、ソニーのPlayStationなどいわゆる「次世代ゲーム機」などでは、ポリゴン処理など3DCGも30 fpsでおこない、同一時刻ベースで偶数フィールドと奇数フィールドの画像を生成していた)。CGの用語では、この処理レートを「フレームレート」と呼ぶ場合があったため、混乱が生じた。
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