ファイル編成法 概要

ファイル編成法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/04 14:16 UTC 版)

概要

汎用コンピュータ(メインフレーム)や一部のオフィスコンピュータの専用オペレーティングシステム(OS)では、各ファイル(データセット)内の、レコードの属性(固定長/可変長/非定型、固定長の場合のレコード長、格納・検索方法など)を定義する。

なお、いわゆるオープンシステムではバイトストリームが基本であり、ファイル編成法は存在しない(詳細は後述)。

また、汎用コンピュータでUNIX系などのOSを使用する場合は、直接稼動の場合はファイル編成法は無関係だが、UNIX互換環境など間接稼動の場合は(専用OSの側では)格納方式(器)として使用されている場合がある。

種類

代表的なメインフレーム専用OSであるMVS系の場合、大きく分けて次の5種類がある。(富士通日立製作所のIBM互換OSもほぼ同様である。)

順編成ファイル(PS)
シーケンシャルファイル(Sequential file)とも言う。
特徴:
  • レコード1次元的に配置する方式。順次アクセスしかできない。もっとも基本的で単純な方式。
  • オープンシステムの用語で言えば、フラットファイルに近く、1つのデータセットが1つのファイルに相当する。複数レコードが収められている場合は、上から順に読んでいく必要があり、一部レコードのみの更新はできない。
  • ファイル内に格納するレコードは固定長/可変長が選択できる。固定長レコードの場合は改行コードは存在しない。非定型はバイナリーなどに使用する。
  • ディスク装置上にもテープ装置にも全く同じ形式で作成できるため、バッチ処理で多用されている。(汎用コンピュータではバッチとテープを多用し、オープンシステムではRDBMSを多用する理由のひとつ。)
区分編成ファイル(PDS)
メンバーという単位に分割し、メンバごとにアクセスできるようにしている。
特徴:
  • メンバー域と登録簿(インデックス)から構成され、ディスク装置のみに作成できる。
  • メンバー内は順次アクセスだけ行われる(メンバー単位に、順編成ファイルと同様に扱える)
  • オープンシステムの用語で強いて言えば、1段階のフォルダ(ディレクトリ)であり、ファイル(データセット)の中に、多数の子ファイル(メンバー)を格納できる。メンバーは簡単な世代管理もできる
  • 主にプログラムライブラリや設定ファイルに使われる
直接編成ファイル
レコードキー値によって、格納するアドレスを計算して、レコードを直接にこのアドレスに格納する。現在ではあまり使われない。
特徴:
  • 直接記憶媒体に適応する。
  • 直接アクセス法に向く。
  • 媒体の記憶効率が低い。
  • 順次アクセス法に向かない。
索引順編成ファイル
ISAM編成ファイル。現在ではあまり使われない。
仮想記憶編成ファイル
VSAM編成ファイル。
特徴:
  • OS付属のユーティリティ(IDCAMS)を使用しディスク装置上に作成できる。KSDS、ESDS、RRDSなどがある。
  • KSDSはキーと索引(インデックス)を使用して、レコード単位の追加・変更・削除ができる。
  • オープンシステムの用語で言えば、OS標準の簡易データベースといえる(メインフレームではDBMSを必要最低限しか使わず、オープンシステムではDBMSを多用する理由のひとつ)。
  • メインフレーム用のDB2 などのデータ物理格納場所(器)としても使われている。

レガシーシステムとオープンシステムの比較

初期のメインフレームは、プログラムや業務データをレコード単位でパンチカード等で入力し、レコード単位でプリンター等に出力する形が基本だった経緯もあり、オペレーティングシステム標準で多様なレコード管理機能を持っている。

プログラマーやアプリケーションプログラムと、システムの管理運用が分離されているといえる(管理者やオペレーターはデータセットの定義を参照してJCLを修正するだけで、格納先をディスク装置からテープ装置に変えたり、ブロックサイズ変更による最適化などができる)。

これに対してMS-DOSWindowsUNIX系などのOSでは、OSによる管理はファイルシステムまでであり、各ファイル内部のフォーマット(ファイル構造)は、各アプリケーションに任されている。(OS自身の使用するファイルも含めて、テキストファイルCSVXMLなど各アプリケーション間の標準化は各種あるが、OSが直接に管理をしているものではない。)

このためOSから見たファイルは1形式(バイトストリーム)に標準化され、各アプリケーションはファイルを自由なフォーマットで扱える反面、各アプリケーションごとのファイル形式は標準化されておらず、各アプリケーションに精通していないとレコード編集は困難である(リスクを伴う)。

言い換えると、レガシーシステムは定型業務中心・OS中心・管理運用重視、オープンシステムはプログラマ中心(自由自在、自由放任)、という経緯・文化の相違の1つとも言える。







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