ノルベルト・クレープス ノルベルト・クレープスの概要

ノルベルト・クレープス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/01 05:04 UTC 版)

生涯

クレープスは、1896年から1902年にかけてウィーン大学アルブレヒト・ペンクエドアルト・ジュースに師事して地理学を学び、歴史学も修め、1900年に「Die nördlichen Alpen zwischen Enns, Mürz und Traisen(エンス、ミュルツ、トライゼン間の北部アルプス)」により博士号を取得した。1907年には、イストリア半島についての業績により、大学教授資格を得た。中等教育学校の教員として働きながら、1909年からは地理学の私講師としてウィーン大学でも教鞭を執った。1917年ヴュルツブルク大学の正教授となり、1918年フランクフルト大学1920年にはフライブルク大学に転じた。1927年には、かつての師であるアルブレヒト・ペンクの後任者としてベルリン大学の地理学正教授となり、1943年まで在職した[1]

1937年、クレーブスはプロイセン科学アカデミーの代表として記念碑的な著作『Atlas des deutschen Lebensraumes in Mitteleuropa(中央ヨーロッパにおけるドイツ人生存圏の地図帳)』を出版し、その中で大ドイツの諸理念、さらに、統一された「ドイツ文化圏」、「生存圏」の概念を広めた。ドイツ民族による連続した中央ヨーロッパ地域の領有権の主張には、ロシアからイングランドデンマークからイタリアまでの領域が含まれ、クレーブスはこれを「言語と文化によって統一された空間」と要約した。クレーブスと彼のかつての師であるペンクは、生物学的生存圏概念の創出に関わり、この概念は後にナチス政権によって、「東方生存圏 (Lebensraum im Oste)」という用語の下で入植定住と領土拡張政策の原型として使用された[2]

1943年から1946年、クレープスはウィーン近郊のクリッツェンドルフドイツ語版に住んでいた。1946年にはベルリン大学に戻り、再び教授職に復帰した。

クレープスの主要な著作としては、このほかにも、1928年の『Die Ostalpen und das heutige Österreich(東部アルプスと今日のオーストリア)』、1939年の『Vorderindien und Ceylon(西部インドとセイロン)』、さらに死後出版された『Vergleichende Länderkunde(比較地誌学)』がある[1]。また『Anthropogeographie(人類地理学)』は、辻村太郎能登志雄の共訳により1936年に日本語版が出版された[3][4]

受賞と栄誉

クレーブスは国立科学アカデミー・レオポルディーナ会員(1926年)、オーストリア科学アカデミードイツ語版通信会員(1934年5月)、プロイセン科学アカデミー正会員(1934年)、ユーゴスラビア科学アカデミー会員であった。

1954年ウィーンフロリズドルフ区ドイツ語版にあるノルベルト・クレーブス通り (Norbert-Krebs-Gasse) が、彼に因んで名付けられた。


  1. ^ a b Artikel zu Norbert Krebs im Lexikon der Geographie”. 2022年8月9日閲覧。
  2. ^ Straßennamen Wiens seit 1860 als „Politische Erinnerungsorte“ (PDF; 4,2 MB), S. 283ff, Forschungsprojektendbericht, Wien, Juli 2013
  3. ^ 人類地理学”. 国立国会図書館. 2024年2月29日閲覧。
  4. ^ 矢澤大二能 登志雄博士の逝去を悼む」『地理学評論 Ser. A』第61巻第5号、日本地理学会、1988年、379-380頁、CRID 1390282680401601024doi:10.4157/grj1984a.61.5_379ISSN 0016-7444 


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