ナタゴラ ナタゴラの概要

ナタゴラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 04:09 UTC 版)

ナタゴラ
欧字表記 Natagora
品種 サラブレッド
性別
毛色 芦毛
生誕 2005年2月18日
死没 2019年
Divine Light
Reinamixa
母の父 Linamix
生国 フランス
生産者 Bertrand Gouin
& Georges Duca
馬主 Stefan Friborg
調教師 Pascal Bary(フランス
競走成績
生涯成績 15戦7勝
獲得賞金 66万3145ユーロ
31万5488ポンド
WTR T/M116(2008年)[1]
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経歴

出自

父ディヴァインライトは日本で競走生活を送り、高松宮記念2着などの成績を残したが、他に似た様な血統構成の活躍馬も多いため種牡馬としては人気が出ず、活路を求めて2003年よりフランスへと渡っていた。しかしフランスにおいても、初年度の種付け頭数はわずか8頭だった。その中から生まれてきたのがナタゴラである。ナタゴラは2006年、フランスの1歳馬市場アルカナセールに上場されたが、父は実績のない新種牡馬であり、母は1勝馬で近親にも目立った活躍馬がいなかった事から、3万ユーロ(約450万円)という安値で落札された[2]

戦績

2歳(2007年)

その後ディヴァインプロポーションズクロコルージュ等を管理したパスカル・バリーの元に入厩し、2007年5月1日サンクルー競馬場の一般戦でデビューした。この初戦こそ2着に敗れたものの、2戦目で初勝利。そこから準重賞での勝利を経て、G3ボワ賞、G2ロベール・パパン賞と、いずれも圧倒的1番人気に応えての重賞2連勝を飾った。続いてG1初挑戦となったモルニ賞ではアイルランドから遠征してきた牡馬マイボーイチャーリーに敗れたが、次走はイギリスに遠征しG1チェヴァリーパークステークスに出走。追走するフリーティングスピリットをクビ差競り落とし、G1初勝利を挙げた。その後は翌年のクラシックに備えて休養に入る。休養中の11月14日、ヨーロッパの年度表彰カルティエ賞が発表され、2007年度の最優秀2歳牝馬に選出された。

3歳(2008年)

3歳春に復帰すると、緒戦のアンプリューダーンス賞を快勝し、イギリスの牝馬クラシック競走1000ギニーへ向かう。戦前は8ハロンの距離を不安視されながらも、オッズは1番人気に推された。レースではスタートから馬群を先導[注 1]、そのまま後続を抑えてゴールまで逃げ切り、フランス調教馬として史上15頭目・ハトゥーフ以来13年ぶりの1000ギニー優勝を果たした。次走はジョッケクルブ賞(フランスダービー)へ向かう。他厩舎と優先騎乗契約を結んでいたクリストフ・ルメールに代わり、ランフランコ・デットーリを鞍上に迎え、出走馬中ただ1頭の牝馬ながらオッズは3番人気に推された。レースでは先行策から直線で一旦先頭に立ったが、残り200メートルで後続の2頭に交わされヴィジョンデタの3着に終わった。

その後短期の休養を経て夏季に入ったが、ロートシルト賞ゴルディコヴァの3着、続くジャック・ル・マロワ賞ではフランス遠征中の武豊が騎乗し日本のファンからも注目を集めたが、タマユズから2馬身半離された2着と勝ち切れず、秋に入ってのムーラン・ド・ロンシャン賞では6着と初の大敗を喫した。その後フォレ賞2着を経て、年末には香港マイルに遠征したが、ハイペースの先行策から直線で失速し、11着と大敗した。

翌2009年も競走生活の続行が予定されていたが、1月にドバイ副首相ハムダン・ビン=ラーシド・アール=マクトゥームへの譲渡が発表され、これに伴い引退、繁殖入りとなった[4]

その後

2019年7月30日付のRacing Post紙は、詳報は不明ながらも、ナタゴラが進行性の健康問題のために人道的見地で安楽死の措置が取られたことを報じた[5][6]

競走成績

年月日 競馬場 レース名 人気 着順 距離 タイム 着差 騎手 斤量 勝ち馬/(2着馬)
2007 05 01 サンクルー ヴァレオーループ賞 2 2着 芝900m(重) 1 1/2身 J.ムルタ 56.5 Faslen
2007 05 19 シャンティイ ローム賞 1 1着 芝1100m(重) 1:06.2 2 1/2身 C.ルメール 55 (Fleurina)
2007 06 14 ロンシャン フレーシュ賞 LR 1 1着 直線芝1000m(良) 56.3 4身 C.ルメール 55.5 (Jane Blue)
2007 07 01 メゾンラフィット ボワ賞 G3 1 1着 芝1000m(稍) 57.2 3/4身 S.パスキエ 54.5 (Wilki)
2007 07 22 メゾンラフィット ロベールパパン賞 G2 1 1着 直線芝1100m(良) 1:03.02 3/4身 C.ルメール 56.5 (Magritte)
2007 08 19 ドーヴィル モルニ賞 G1 2 2着 直線芝1200m(重) 2身 C.ルメール 55.5 Myboycharlie
2007 10 05 ニューマーケット チェヴァリーパークS G1 2 1着 直線芝6f(良) 1:11.55 クビ C.ルメール 56.2 (Fleeting Spirit)
2008 04 14 メゾンラフィット アンプリュダーンス賞 LR 1 1着 芝1400m(不) 1:29.90 1 1/2身 C.ルメール 57 (Modern Look)
2008 05 04 ニューマーケット 1000ギニー G1 1 1着 直線芝8f(良) 1:38.99 1/2身 C.ルメール 57.2 (Specious)
2008 06 01 シャンティイ ジョッケクルブ賞 G1 3 3着 芝2100m(重) 1 3/4身 L.デットーリ 56.5 Vison d'Etat
2008 08 03 ドーヴィル ロートシルト賞 G1 1 3着 直線芝1600m(稍) 2 1/2身 C.ルメール 54 Goldikova
2008 08 17 ドーヴィル ジャック・ル・マロワ賞 G1 3 2着 直線芝1600m(稍) 2 1/2身 武豊 54.5 Tamayuz
2008 09 07 ロンシャン ムーラン・ド・ロンシャン賞 G1 5 6着 芝1600m(稍) 4 3/4身 C.ルメール 54.5 Goldikova
2008 10 04 ロンシャン フォレ賞 G1 3 2着 芝1400m(良) 3身 C.ルメール 56 Paco Boy
2008 12 14 沙田 香港マイル G1 6 11着 芝1600m(良) 8 1/2身 C.ルメール 55 Good Baba

※LRは準重賞。

その他

  • ナタゴラの活躍後に開催されたアルカナセールに上場された半妹(Baila Morena)は、同セールの新記録となる33万ユーロ(約5400万円)でナタゴラと同じ馬主に落札された。なお、その父アグネスカミカゼもディヴァインライトと同じく日本からフランスへと輸出された種牡馬であり、父サンデーサイレンス、母の父ノーザンテーストと血統構成もよく似ている。
  • 海外競馬評論家の合田直弘は、ナタゴラを評して「どっしりとした重量感は母の父リナミクスの影響を強く感じさせるが、競り合っての強さは明らかにサンデーサイレンスの闘争心を感じさせる」と語っている[7]

注釈

  1. ^ ただしレース前でバリー調教師は鞍上のルメールに「逃げるな」という指示を出していたため、それに反する形のレースとなった[3]

出典

  1. ^ The 2008 World Thoroughbred Rankings”. IFHA. 2022年2月25日閲覧。
  2. ^ 『Paris Turf』2004年11月21日の記事によれば、フランス産馬の平均価格は約6万5000ユーロである。
  3. ^ ルメール連載【17】08年英1000ギニー「逃げるな」の指示に反して…”. 東京スポーツ (2022年2月14日). 2024年2月10日閲覧。
  4. ^ 英1000ギニー馬ナタゴラが繁殖入り”. 競馬ブック (2009年1月21日). 2024年2月10日閲覧。
  5. ^ 英1000ギニー馬ナタゴラが14歳で死亡、ディヴァインライト産駒”. JRA-VAN (2019年7月31日). 2019年8月1日閲覧。
  6. ^ Stevens, Martin (2019年7月30日). “Cheveley Park Stakes and 1,000 Guineas heroine Natagora dies at 14” (英語). レーシングポスト. 2019年7月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月10日閲覧。
  7. ^ 合田直弘「ディヴァインライト産駒、英国でG1制覇」 2007年10月9日配信


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