カギカズラ カギカズラの概要

カギカズラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 19:12 UTC 版)

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カギカズラ
カギカズラの花
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: アカネ目 Rubiales
: アカネ科 Rubiaceae
: カギカズラ属 Uncaria
: カギカズラ U. rhynchophylla
学名
Uncaria rhynchophylla
(Miq.) Jacks.,1897
和名
カギカズラ

概要

よく木に登り、森林内では林冠部まで顔を出し、その上に枝を広げることもある。節々から鉤を出してこれを他物に引っかけるようにしてはい上がる姿は日本では他に例が少ない。和名は鉤葛で、この鉤にちなんだものである。漢名の鉤藤を当てる場合もあるが、これは中国産の別種であるから使ってはならない、と牧野富太郎は述べている[1]

本州では南方系の珍しい植物として重視されるが、林業の方ではやっかいな蔓草としていやがられる。薬としても利用される。

特徴

常緑性である。最初は茎が立ち上がるが、次第に周囲にもたれ、引っかかるように伸び、10m以上にも達する。枝振りとしては真っ直ぐに伸びる枝と側方へ出る側枝が比較的はっきりしており、側枝では葉は水平に配置する。

対生、楕円形で先端は鋭く尖る。葉身は長さ5-12cm、幅3-6cm、表は滑らかで鈍いつやがあり、裏面はやや白っぽくなる。また、若葉は赤みを帯びる。葉の基部には線形の托葉が個々の葉の両側にあり、あわせると節ごとに四つ着いている。これらは早い時期に脱落するが、新芽ではよく目立つ。

また、上方の枝では葉の基部上側から鉤がでる。鉤は先端に向かって細くなったものが茎の下側に向かって巻き込んだもので、ほとんど円形になるまで先端が巻き込んでいる。はじめは緑色をしている。他のものに引っかかると太くなってしっかりと植物体を固定する。

は6-7月に咲く。枝の先端近くの葉腋から2-3cmの枝が一本だけ伸び、その先端に多数の花が頭状に集まった球形の花序が一つつく。花序は開花時でその径が2cmほど。花弁は長さ1cmほどの筒の先端が五弁に分かれて開いたもので、緑を帯びた白。その中から棍棒状の雌蘂が長く突き出す。同じ枝先から数個がまとまってでるので、なかなか目を引く花である。

果実は蒴果で、花がそのまま枯れたような姿、種子は小さくて0.5mm、両端に長い翼がある。

鉤について

鈎の様子

この鉤は本来は枝であったものと考えられている。葉の上側の基部は本来は枝のでる位置である。また、側枝のでた節には鉤がないし、花序を出した葉の基部にも鉤を生じない事でもそれがわかる。側枝では対生する葉は水平に展開し、鉤はその基部からでて少し下向きに曲がって伸びるため、葉に隠れる形になる。下から見るとすべての鉤が見える。

ここで面白いのは、葉の着く節ごとに鉤がでるのであるが、二本が対になって出る節と一本だけ出る節が交互に現れることが多い点である[2]

生育環境

森林に生える。森林内や林縁部に出現するが、明るいところを好み、とくにギャップを生じると素早く繁茂する。森林伐採の後などにもよく繁殖し、先駆植物的な色合いが強い。森林でないところには出てこない。


  1. ^ 牧野(1961)p.581、こういう注文の付け方は牧野節である。ただし、現在ではこれらは同種内の変種となっている
  2. ^ 牧野(1961)p.581
  3. ^ 牧野(1961)p.581
  4. ^ a b 「医薬品各条」『日本薬局方第15改正』(PDF)厚生労働省、2008年3月31日、p.p.1242。2010年2月7日閲覧。
  5. ^ 永益(1997)、p.15
  6. ^ 宮原桂『漢方ポケット図鑑』源草社、2008年、174頁。ISBN 4-906668-62-3
  7. ^ Sakakibara I., Takahashi H. (1998). “Chemical and phamiacological evaluations of Chinese crude drug “Gou-teng”.”. Natural medicines 52: 353-359. 
  8. ^ 『わかやまの生物』p.59
  9. ^ Huang HC, Zhong RL, Cao P, Wang CR, Yang DG (2008-03). “AlCl3によるアルツハイマー型認知症ラットモデルに対する釣藤散の影響 (Effects of Goutengsan on model of Alzheimer dementia in rats by AlCl3)” (Chinese). 中国中薬雑誌(Zhongguo Zhong Yao Za Zhi) 33 (5): 553–6. PMID 18536382. http://china.jst.go.jp/G/C2264A/09A0869292.html. 
  10. ^ 山形県衛生研究所 衛研ニュース№131
  11. ^ 大塚敬節『漢方医学』創元社〈創元医学新書〉、1990年2月1日(原著1956年7月25日)、第3版、p.p.219,228,237。ISBN 4-422-41110-1
  12. ^ 御影雅幸、遠藤寛子「漢薬「釣藤鉤」の薬用部位に関する史的考察」『日本東洋医学学会誌』第59巻第1号、2008年、 25-34頁、 doi:10.3937/kampomed.59.25ISSN 0287-4857NAID 110006596068
  13. ^ Stevens, P. F. (2001 onwards). Angiosperm Phylogeny Website. Version 14, July 2017 [and more or less continuously updated since]. 2019年6月6日閲覧。


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