インバータ 制御用半導体素子

インバータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/01 04:35 UTC 版)

制御用半導体素子

1990年代前半までは、大出力用にはゲートターンオフサイリスタ (GTO)、小出力用途にはパワーバイポーラトランジスタが主として使われていたが、1990年代後半以降は、よりオン抵抗が低く、高速駆動が可能な絶縁ゲートバイポーラトランジスタ (IGBT; 大出力用)やパワーMOSFET(小出力用)が製造されるようになったことから、これらの素子を使用するものがほとんどとなった。さらに、前項に記述したSiCパワー半導体へと置き換えが進んでいる。SiCパワー半導体の製造メーカーには三菱電機やロームなどがある。

インバータ装置

厳密には、直流電力を交流電力に変換する装置あるいは装置の一部をインバータと呼ぶ。バッテリー電源の交流変換装置、直流電気鉄道のインバータ装置はこのタイプのインバータ装置である。一方、日本においては、相数・周波数・電圧等の異なる交流を得るために、商用電源の単相交流、三相交流を、一旦整流器で直流に変換してから、再度交流にするための、整流器 (コンバータ)と (厳密な意味での)インバータを組み合わせ、同一パッケージ内に収容した電力変換装置全体をインバータと呼ぶことも多い(産業用インバータなど)。

インバータの用途

車載インバータ
自動車のアクセサリーソケットカーバッテリーから得た直流12 Vを交流100 Vに変換する。

一口にインバータと言ってもインバータの応用範囲は幅広く、それぞれの分野におけるインバータ回路と他の用途におけるインバータ回路とはお互いに全く異なるものである。応用面を大きく分けると、モーター制御、DC-ACインバータ、DC-DCコンバータ、放電ランプ用安定器、その他となる。

インバータの保全

インバータは固体回路素子のみから構成されるため、メンテナンスフリーの装置であるかのように誤解される場合もあるが、実際は、とりわけコンバータとインバータを組み合わせた装置においては、コンバータ部の平滑用電解コンデンサが経年劣化の避けられない有寿命部品であり、いずれは交換が必要になる。故障による長時間の停止が好ましくない用途では、予防保全として、電解コンデンサを5〜10年程度の間隔で定期的に交換することが好ましい。 また、電動機用などの比較的容量の大きいインバータは近年小型化が進み、素子をファンにより強制冷却していることが多い。そのため、ファンの交換も2〜4年の間隔で定期的に交換することが望ましい。


  1. ^ NEDOプロジェクト実用化ドキュメント”. www.nedo.go.jp. 2018年10月24日閲覧。
  2. ^ Good チャンネル (2015-01-30), 小田急1000形1066F(更新車) 2015年1月9日営業運転開始, https://www.youtube.com/watch?v=ABEUhe603Us 2018年10月24日閲覧。 
  3. ^ 東海道新幹線の新型車両「N700S」はリニア時代の布石 (3/4)」『ITmedia ビジネスオンライン』。2018年10月24日閲覧。


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