アセトン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/30 06:56 UTC 版)
用途
ほとんどの有機溶媒、水、油と混和するので、本来混じり合わない液体同士を混ぜ合わせる際のカップリング剤となる。加えて、沸点が低く乾きやすいため、有機化学研究の分野で器具の洗浄にも使われる。また、1,2-ジオールのアセトニド保護にも使われる。アメリカとヨーロッパの共同研究により、アセトンの「健康被害はわずか」であることが判明している。
付け爪用リムーバー、除光液、スプレーペイントや染み抜きなど一般的に使用される製品での「当然予期される子供へのアセトンの暴露」に対する広範囲な研究も行われたが、子供の環境、および消費者製品によるアセトンの暴露は、重大な健康リスクを引き起こす可能性は少ないという結果となった。子供の体内に存在するアセトンの 90 パーセントは、体内で自然に生成されるものであることも特定された。残り10 パーセントは、たまねぎ、ブドウ、カリフラワー、トマト、牛乳、チーズ、豆類およびサヤエンドウといった自然食品源のほか、母乳からのものである。
- 生物学に関連する諸分野
- 生物組織の脱水、脱脂、固定、標本作成などに用いられることがある。生物遺体の水分を合成樹脂に置き換えて標本にするプラスティネーション処理を行う際には、合成樹脂を含浸させる前に水分と脂肪分を全てアセトンに置き換える。植物化石の組織構造を連続切片プレパラート標本として得るためのピール法では、アセテートフィルムを膨潤軟化させる溶剤としてアセトンが用いられる。
- 生化学や分子生物学に於いて、水溶液として得られたタンパク質の沈殿精製に脱水剤として用いられる。
- 化学原料
- アセトンは、メタクリル酸メチル (MMA) の原料として用いられる。
- 溶媒と酸化剤とを兼ねるかたちで、オッペナウアー酸化(Oppenauer oxidation、トリアルコキシアルミニウム触媒により 2級アルコールからケトンを生成する酸化反応)にて用いられる。
- アセトンをしかるべき反応条件で酸化させると、過酸化アセトン、あるいはジメチルジオキシランを生じる。
- 高圧ガス関連技術
- 工業においては、単体では容易に分解やそれによる爆発を起こしやすいアセチレンを、ガスボンベ内で安定な状態で保つために容器内にアセトンが使われる。まずガスボンベ内にケイ酸カルシウムを入れ、次にアセトンをボンベ内に入れることでケイ酸カルシウムにアセトンを吸着させる。その吸着しているアセトンにアセチレンを溶解することで、ボンベ内で比較的安定に保つことができる。
- 食品添加物
- メタノールと同じく食品添加物や食品包装の成分としてもリストされている。飲料、焼き菓子、デザートやジャムに濃度 5~8 mg/L の範囲で使用されている場合は、GRAS(一般的に安全と認められる)物質として評価されている。しかしアセトンやメタノールなどの毒性の高い食品添加物は残存量が規定されている[5]。
- 医学的および美容用途
- 医療オフィスやメディカルスパでの肌の活性化プロセスによく使用される[要出典]。
- マニキュアの除光液やプラスチック系接着剤、塗料の溶剤、瞬間接着剤のはがし液など多くのものに含まれている。マニキュアの除光液は脱脂性が強いため爪を劣化させることがあり、ノンアセトンタイプの除光液も発売されている。
- ケミカルピーリングを行う際の、皮膚の脱脂用途として用いられる。これには、アセトン、Septisol(ヘキサクロロフェン)、またはこれら化学物質の組み合わせがよく使用される[要出典]。
- ^ a b c d Merck Index 14th ed., 66.
- ^ a b 国際化学物質安全性カード ICSC:0087
- ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編
- ^ Merck Index 13th ed., 67.
- ^ 厚生労働省・食品添加物 (PDF)
アセトンと同じ種類の言葉
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