Koncert na fortepian i orkiestreとは? わかりやすく解説

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ルトスワフスキ:ピアノ協奏曲

英語表記/番号出版情報
ルトスワフスキピアノ協奏曲Koncert na fortepian i orkiestre作曲年1987年  献呈先: Krystian Zimerman

作品解説

2008年7月 執筆者: 飯田 有抄

その生涯通じ新古典主義民族主義前衛など多様な音楽スタイル提示してみせたルトスワフスキだが、彼の唯一のピアノ協奏曲円熟した創作期である198788年作曲された。部分的に偶然性」の要素や、調性感ある音響クライマックス形成ルトスワフスキ自らが考案したチェーン形式盛り込むなど、多彩なファクター散りばめられており、繊細で高度な技術をもってして実現したピアノ協奏曲傑作である。

全4楽章構成楽章間は休みを置くことなくアタッカ一気奏される第一楽章導入部では木管楽器により、静かにざわめくような音響提示されるアド・リビトゥム指示があるこの導入部は、演奏者一人ひとりが指定された音型を各々反復することで生じる音群。ルトスワフスキジョン・ケージ音楽出会ってから60年代多用した偶然性」の技法一端がここに見られる。しかしこの作品では、これ以上不確定性要素拡大しないその後に続く濃淡豊かなオーケストラ音響や、細かなパッセージ織り成すピアノパートはいずれも、音高リズム拍子等がスコア精緻書き込まれている(現代音楽では、それらが矢印図形などで記されることが多い)。ルトスワフスキ自身もこの点について強調しており、次のように述べている。

「この作品のどこにも即興はない。演奏されるべき全ての音は詳細に書き記してある。それらは演奏者によって正確に再現されなくてはならないアド・リビトゥム部分伝統的な書法による部分基本的な違いというと前者においては演奏者たちが、共通した時間的区切り一切持たないということである。つまり、個々演奏者独奏状態にあり、他の演奏者調和しない。これによってある特定の効果、つまり、豊かで不規則なリズムによる柔軟なテクスチュア生じるのだ。これは他の方法では得られない。」※(翻訳筆者

第二楽章ではピアノオーケストラ戯れのように掛け合い繰り返す(モト・ペルペトゥオ)。後半にはカデンツァのような長いピアノソロの後、弦楽器により突如としてE-Gis-Hの調三和音響き提示される。この三和音は再び、静謐にして厳し音響へと消えていくため印象深い。続く第三楽章冒頭でもまた、長いピアノソロが独白のように続くが、後半には圧倒的なみのあるトゥッティ(全楽器一度奏する)が起こる。第四楽章では、バロック音楽シャコンヌ、すなわち変奏曲形態とっている。またこれは、ルトスワフスキ自身生み出したチェーン形式」という技法仕組まれている。ここではオーケストラ奏でるレイヤーピアノ織り成すレイヤー存在するそれぞれのレイヤーは、細かなセクション分かれるが、そのセクション始まりと終わり互いにオーバーラップして起こり同時に終始することはない。両者重なりかみ合うように、つまりチェーン絡み合って構成されるようにして、楽曲進行していくのだ。このチェーンの両レイヤー楽章終結部初め一つ収斂し、やがてオーケストラ背景としたピアノの力強い叙唱があり、続くコーダ締めくくられる。
ザルツブルク音楽祭からの委嘱作品であり、初演1988年8月19日ルトスワフスキ自身指揮オーストリア放送交響楽団、クリスチャン・ツィメルマンのピアノ行われた演奏時間はおよそ27分。

Lutoslawski, Witold: Concerto for piano and orchestra. London : Chester Music , c1991.




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