雁皮紙
雁皮紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/17 07:48 UTC 版)
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雁皮紙(がんぴし)は、ジンチョウゲ科の植物である雁皮から作られる和紙である。自然界に自生しているものから材料を採取する[1]。
雁皮の成育は遅く栽培が難しいため、雁皮紙には野生のものの樹皮が用いられる。古代では斐紙や肥紙と呼ばれ、その美しさと風格から越前産のものは「紙の王」と評された。繊維は細く短いので緻密で緊密な紙となり、紙肌は滑らかで、赤クリームの自然色(鳥の子色)と独特の好ましい光沢を有している。丈夫で虫の害にも強いので、古来、貴重な文書や金札に用いられた。日本の羊皮紙と呼ばれることもある。
しかし、厚い雁皮紙は漉きにくく、水分を多量に吸収すると収縮して、紙面に小じわを生じる特性があるために太字用としては不適とされ、かな料紙・写経用紙・手紙などの細字用として使われるのが一般的である。平安時代には、厚さによって厚様(葉)・中様・薄様と言われ、やや厚目の雁皮紙を鳥の子紙と言って、越前産が最上とされた。雁皮は謄写版原紙用紙の原料として大量に使用されていたが、複写機が普及して以来急激にその使用量が減少した。ちなみに、鳥の子紙は雁皮と楮を混ぜたものである。
工芸品
人間国宝
関連項目
脚注
出典
- ^ 加藤明『現代に生きる北陸の紙郷 : 加賀雁皮紙、加賀二俣和紙、越中和紙、越前和紙の産地と事業者のケース』JAIST Press〈文部科学省・科学技術戦略推進費・地域再生人材創出拠点形成プログラム石川伝統工芸イノベータ養成ユニット・ケースブックシリーズ6〉、2012年。hdl:10119/10319。ISBN 9784903092324 。2024年6月17日閲覧。
- ^ 人間国宝に七氏『朝日新聞』1968年(昭和43年)3月12日朝刊 12版 14面
雁皮紙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/12 13:57 UTC 版)
斐紙(ひし)と呼ばれていた雁皮紙(がんぴし)は、特にその薄様が平安時代に貴族の女性達に好んで用いられ、「薄様」が通り名となっていた。さらに平安末期には美紙と呼ばれるようになっている。男性的な楮の穀紙や奉書紙に対して、肌合いが優しくきめの細かい雁皮紙は、詠草(えいそう)料紙(りょうし)として愛用された。平安末期には、取り扱いが難しく手間のかかる麻紙(まし)が作られなくなり、楮の穀紙や雁皮紙にとって代わられ、雁皮紙も特に薄様が主流となっていた。この雁皮紙が鳥の子と称されるようになるのは、南北朝時代頃からである。 足代弘訓の『雑事記』(嘉暦3年(1328年)頃に成立)に「鳥の子色紙に法華経を書写した」との記述があり、『愚管記』の延文元年(1356年)の条に、「料紙鳥子」とあり、さらに後崇光院の『看聞日記』永享7年(1431年)の条にも「料紙鳥子」の文字が見える。 平安の女性的貴族文化の時代から、中世の男性的武士社会にはいって、厚用の雁皮紙(がんぴし)が多くなり、薄様に対してこれを鳥の子紙と呼んだ。鎌倉末期から鳥の子の名称が一般化し、近世に入ると雁皮紙(がんぴし)はすべて鳥の子紙と呼ぶようになった。
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「雁皮紙」の例文・使い方・用例・文例
- 雁皮紙という和紙
雁皮紙と同じ種類の言葉
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