退職時等の証明
・使用者の退職時等の証明義務は労働基準法第22条に規定されている。
・労働者が退職する場合、以下について労働者が証明書を請求した場合は、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない。
(1)使用期間
(2)業務の種類
(3)その事業における地位
(4)賃金
(5)退職の事由(退職事由が解雇の場合はその理由を含む)
・(5)の退職の事由(退職事由が解雇の場合はその理由を含む)は平成10年の労働基準法の改正時に加えられた。
・また、労働者が解雇予告をされた日から退職の日までに、当該解雇の理由についての証明書を請求した場合、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない。
・なお、証明書の内容は、法定記載事項であろうと労働者が請求しない事項を記入することを禁止されている。
・労働者が退職する場合とは、自己都合の退職のほか、解雇、懲戒解雇、契約期間の満了などが該当する。
・労働者が退職時の証明を請求できる事項は2年に定められているが、2年内であれば、証明を請求できる回数の制限は設けられていない。
・労働者が退職時、使用者は労働者に離職票を交付するが、離職票は公共職業安定所に提出する書類であるため、退職時の証明に代替することができない。
・また、退職時等の証明は「使用者はあらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、身上、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は退職時等の証明書に秘密の記号を記入してはならない」(労働基準法第22条)とされている。
退職時等の証明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 21:24 UTC 版)
労働者が、退職の場合において、退職時の証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない(22条1項)。法定の記載事項は以下のとおりであるが、労働者からの請求があればこれら以外の事項を記載しても差し支えない。一方これらの事項であっても、証明書には、労働者が請求しない事項を記入してはならない(22条3項)。 使用期間 業務の種類 その事業における地位 賃金 退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)「解雇の理由」については、具体的に示す必要があり、就業規則の一定の条項に該当する事実が存在することを理由として解雇した場合には、就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係を証明書に記入しなければならない(平成15年10月22日基発第1022001号)。 解雇予告された労働者は、退職の日までに使用者に解雇の理由を記した証明書を請求することができ、請求を受けた使用者は遅滞無く交付しなければならない。ただし、解雇予告を受けた労働者が、解雇以外の事由で退職した場合は、退職の日以降、使用者は交付する責を負わない(22条2項)。この場合、労働者は、当該解雇予告の期間が経過したからといって、改めて22条第1項に基づき解雇の理由についての証明書を請求する必要はない(平成15年10月22日基発第1022001号)。懲戒解雇の場合であっても同様である。なお、労使の間で退職事由について見解の相違がある場合、使用者は自らの見解を証明書に記載して遅滞なく交付すれば、それが虚偽である場合を除き、22条違反とはならない(平成11年3月31日基発169号)。なお、雇用保険法における離職票を交付することで退職時の証明書に代えることはできない(平成11年3月31日基発169号)。請求の回数に制限はない。請求の時効は2年となる(115条)。 また使用者は、あらかじめ第三者と謀って労働者の就業を妨げることを目的として労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、または証明書に秘密の記号を記入してはならない(22条4項)。いわゆるブラックリストによって就業を妨害することを禁止する趣旨である(昭和22年9月13日発基17号)。「通信」については22条4項に挙げられた項目についてのみ禁止されるが(限定列挙、昭和22年12月15日基発502号)、「秘密の記号」についてはいかなる項目についても禁止される。なお使用者が第三者からの照会に回答することは禁止されていない。
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