課題、批判に対する反論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/14 08:37 UTC 版)
「ジメチルエーテル」の記事における「課題、批判に対する反論」の解説
圧縮性が高い(体積弾性率が低い)燃料であることは事実である。しかし、15 Mpa レベルでの研究開発ではそのことは指摘されたが、その後の高圧噴射を実現する中で、そのことのマイナス面での影響は指摘される状況にはない。 DMEは体積弾性率が低いから液体状態ではゴム毬のようで、圧縮する際に圧力が噴射圧に反映しにくいという説を、DMEが自動車燃料として向いていないという説明に利用される。 体積弾性率のみを軽油と比較すると1/2であり、圧力は1/3である。従って容積の2倍を噴射しなければならないため、圧縮しなければならない容積は4/3となる。つまり、軽油に対して圧縮量が増えることになるが、その量は気にするようなレベルではない。むしろ、逆にいえば、圧力が1/3であるために、部品の耐圧強度も1/3でよいなどのメリットの方がはるかに大きい。 排気再循環(EGR)を実行することでの効率低下は事実であるが、多かれ少なかれガソリン車や軽油ディーゼル車でも行っていることであり、DMEだけがことさら批判される事柄ではない。むしろ、ディーゼル排気微粒子(DPM)やすすを発生しないために、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF) を装着せずに済むことで、軽量化や背圧が増加しないことによる効率向上は自動車にとって十分な恩恵であると考えられている。また、GTL軽油を利用する際に、ディーゼルエンジンの圧縮比を13分の1程度に落とすことが実証実験されているというが、結果として低回転域のトルクを犠牲にしている。GTL軽油は天然ガスから合成される軽油様燃料で、セタン価が70以上あり、そのままでは軽油代替としての利用は問題がある。ただし、硫黄を含まない燃料であることは優れた面である。また、多環芳香族炭化水素 (PAH) を含まないため、DPMの発生が少なくなる傾向にあるが、完全ではない。 このことは、ディーゼルエンジンの特徴である低回転域のトルクを減じることであり、このことから小型トラックや乗用車向きの燃料との評価がある。軽油を中心に実行されてきたディーゼルエンジンに対して、軽油代替燃料として、GTL軽油とDMEを比較した場合、大型トラックやバスなどの必須条件である低回転域のトルクを軽油以上に発揮できるDMEが、軽油代替燃料としては優れた面であるとされる。
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