紙本著色在原業平像とは? わかりやすく解説

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紙本著色在原業平像〈/(佐竹本三十六歌仙切)〉

主名称: 紙本著色在原業平像〈/(佐竹三十六歌仙切)〉
指定番号 1980
枝番 0
指定年月日 2000.06.27(平成12.06.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 1幅
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  佐竹本【さたけぼん】は、上畳本と同じく藤原公任三六人撰にもとづく歌仙絵で、現存諸作品中最も古く、かつ優れた作風知られる古く京都下賀茂神社伝来したことが『兼葭堂雑録【けんかどうざつろく】』巻一記されるが、のちに秋田藩佐竹家所有となったことから、佐竹本の名で呼ばれている。
 当初佐竹本は、歌仙三六人および住吉明神の一図を上下二巻分かち、各歌仙位署略歴および和歌一首書き、その左方歌仙肖像を描く巻子装【かんすそう】をなしていた。しかし、大正八年一九一九)に一歌仙ずつに切断され諸家分蔵されるに至り、現在そのうち三一図が重要文化財指定されている。この在原業平像は、端整な風貌銀泥用いた装束描写からなる艶【あで】やかな絵姿で、佐竹本の中でも著名な一図である。
 従来佐竹本の絵の作者似絵名手藤原信実ふじわらのぶざね】(一一七六-一二六五年?)、書の筆者を後京極良経ごきょうごくよしつね】(一一九-一二〇六年)とする伝承があるが確証はない。本図作風は、例え承久三年一二二一藤原信実筆の後鳥羽天皇像国宝大阪水無瀬神宮)や、伝信実とされる随身庭騎絵巻ずいじんていきえまき】(国宝東京・大文化財団)などに比べると、これらよりはやや時代の降る特徴うかがえる
 一方位署和歌書風は、文永十一年(一二七四)の惟康親王願文が、佐竹本に見える後京極様をさらに推し進めた書風を示すことから、この年佐竹本の制作年代下限とする指摘がある。
 また、業平像の着衣形式を見ると、冠の纓袖【えそで】が立ち上がり見せる点、袍【ほう】の胸部両袖部をやや誇張的膨らませて描く点等に、鎌倉時代装いあり方反映されている。そこには、当世風俗を摂り入れつつ古代歌仙描こうとする、佐竹本あるいはその祖本進取性をうかがうことができる。
 以上の諸点より、佐竹本の制作時期鎌倉時代中期考えられ歌仙絵諸本中の最古本であるのみでなく、藤原隆信信実家系中心とする当時似絵【にせえ】制作豊かな具体相を知るうえに、佐竹本はきわめて貴重な意義有している。



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