第二世代以降のマハトマ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 09:16 UTC 版)
C・W・レッドビータは、「霊的進化を完成させた人間」が大師(マスター)であり、彼らが諸文明の発展を導いているとした。霊的進化を確実かつ順調に行うためには、大師が定める指針に従わなければならず、大師に出会うためには宗教を学ぶこと、特に〈神智学〉が示したヨーガや瞑想の実践を通して大師に精神的波長を合わせることが推奨された。 大師に出会うことができた人間は、グレート・ホワイト・ブラザーフッドの一員になるため「イニシエーション(英語版)」(加入礼、秘儀伝授)を受けるが、これは九段階で構成され、どこまで通過したかによってグレート・ホワイト・ブラザーフッドの「ハイアラーキー」(階級組織)に占める位置が区別される[要文献特定詳細情報]。第一から第四までは大師になるための前段階で、第五階級は大師の入り口であり、これに到達した人間は「超人」(アセーカ)と呼ばれる。第六から第九までは、それぞれ「首長」(チョーハン)、「大首長」(マハー・チョーハン)、「仏陀」「世界君主」と呼ばれ、その上に世界の創造主として「ロゴス」が君臨している[要文献特定詳細情報]。 ブラヴァツキーはマハトマ(マスター)はチベットに住むものとしていたが、レッドビーターやベイリーの時代には「高次元」に存在するものとして「アセンデッドマスター(英語版)(昇天したマスター)」と呼ばれるよう格上げされた。アセンデッドマスターは、一種の「神的存在」ともなり、大衆的な宗教運動につながることになった。クリシュナムルティを「世界教師」とする救世主運動は失敗に終わったが、神智学系のメシアニズム運動はシェア・インターナショナルのベンジャミン・クレーム(英語版)など、現在に至るまで続いている。 ガンジーを最初にマハトマと呼んだのは、神智学協会2代目会長のアニー・ベサントであったとも言われる。 また、霊的進化のためには、ヨーガや瞑想の修行が有効という考えも説かれるようになっていった。レッドビータは、瞑想の実践により透視力を得ると、オーラの感知、さらには「アカシック・レコード」と呼ばれる霊的な記憶の場にアクセスすることによる過去視・未来視が可能になるという。 イギリス生まれのアリス・ベイリーは、移住先のアメリカで神智学協会に関わったが、協会から離反して1923年にアーケイン・スクールという団体を創設した。彼女は大師のジュワル・クール(英語版)とテレパシー通信していると主張して、多くの著作を発表した。彼女の書籍は他の〈神智学〉の書籍と共にニューエイジに大きな影響を与えた。 マハトマとの交信は、ウィリアム・エグリントン(英語版)などの霊媒によって、〈神智学〉とは別にも進められたが、これはニューエイジの「チャネリング」と共通する発想である。 ブラヴァツキーはチベットに住むマハトマから教えをさずかったと主張していたが、当時のヨーロッパではチベットはオカルトと秘教の神秘に彩られた理想の地と思われていた。フレデリック・ルノワールは、二冊の書籍が欧米に大きな影響を与えたという。 一冊目は、1920年代のアメリカで出版されたベアード・T・スポールディング(英語版)の『師たちの生活』(邦題は『ヒマラヤ聖者の生活探求』・『ヒマラヤ聖者への道』)で、インドで秘儀伝授を受けたというイエス・キリストが登場する空想めいた話の内容は、吉永によればインド思想ではなく〈神智学〉を柱とした当時のアメリカの大衆的オカルティズムの思想である。二冊目は、1956年のロンドンで出版された自称チベット人のロブサン・ランパの『第三の眼』で、チベットのラサで幼年時代を過ごし、僧になり第三の眼を開眼したイギリスへの亡命者という体裁の回想録は、実際はイギリス人で内容は〈神智学〉を踏襲したものである。
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