第三の生物 マタンゴ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 14:12 UTC 版)
劇中では、「どこかの国が行った水爆実験の放射線によって変異したキノコを食した人間の成れの果て」と設定されている。マタンゴを食した者は、全身を次第に胞子で覆われるにつれて知性が失われ、成体(キノコ人間)への変身と共に人としての自我は消失し、怪物への変異が完了する。難破船の日誌には、「島で発見した新種のキノコ」や「麻薬のように神経をイカレさせてしまう物質を含む」と記録されていた。 変身途上のマタンゴは、無施錠のドアを開ける、背後から人を襲って島の内陸部に拉致するといった程度の知能は残っているが、明確な言葉は発さずうめき声程度しか発しない。薬品や火、光に弱いとされており、銃弾では死なないが、銃身で殴られて腕がもげる(ただし、血は大して流れない)など、骨肉の強度は人間のそれより劣る。 マタンゴが自生する島は木々が多々茂っているうえにいつも霧に包まれており、昼でも暗い。歩けば1日もかからず反対側に行ける広さしかないこの島には、潮や霧の影響から多くの船が島に引き寄せられて座礁するため、近海地域は「南太平洋の船の墓場」と形容されている。浜にはウミガメが産卵に来るが、鳥類は決して島に近づこうとしない。 名はキノコの一種であるママダンゴから採られた。変身途上のマタンゴを、マタンゴ怪人と記述した書籍もある。小松崎茂による完全体のデザイン画では、マッシュルームに由来するマグマという名称が記されていた。 劇場公開当時のポスターでは「吸血の魔手で人間を襲う“第三の生物”マタンゴの恐怖!」と記述されているが、作品にそのような設定や描写は無い。また、「核実験で生まれたキノコ」という設定以外に文明批評的なものも無く、人間の我欲の行き着くところが無我・無自性のキノコ怪人であり、それが人間性に潜在する本性であるかのようなニヒリスティックなストーリー構成となっている。 声は『ウルトラQ』に登場するケムール人やリリー、『ウルトラマン』に登場するバルタン星人などの声に流用されたほか、ジョージ・A・ロメロ監督『ゾンビ』の日本公開版の予告編ではゾンビの呻き声としても流用されている。 デザイン・造型 デザインは小松崎茂が担当。キノコ雲をイメージしている。 スーツ造型は利光貞三が担当。スーツはワンピース状の1体と、頭部と胴体が分かれたツーピース状の4体が作られた。全高は3メートルほどだが、ラテックス製のため、重量は従来の怪獣よりも最も軽い30キログラムほどであった。表面には光を反射するスコッチライトや蛍光塗料などを施して青白く発光するようになっている。 スーツアクターを務めた中島春雄は、演技のやりようがなく、嫌々やっていたと述べている。 マタンゴ怪人のマスクもラテックス製。マスク制作は利光ではなく、八木寛寿らが担当した。 森の中のキノコの造形物は、発泡剤を石膏や一斗缶に入れて膨らませている。 複数出現したマタンゴ成体の中には、エノキタケに似た形態の個体もいた。これは小松崎によるデザインに基づいた造形の着ぐるみであるが、1体しか製作されていないらしく、出番は少ない。
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