第三の狂人の物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「第三の狂人の物語」の解説
その狂人の若者は、幼い頃に両親を亡くし、近所の人に育てられていた。12歳になったある日、遊んでいると、小屋を見つけその中に年老いた賢者がいるのが分かった。若者はその賢者から学問を学ぶことになり、5年の月日が流れた。 ある日、イスラム寺院の中庭にいると、宦官たちに囲まれた王女の行列が通り、ベールをした王女を一目見た若者は、恋に落ちてしまった。若者は賢者に、王女にもう一度会わなければ死んでしまうと言い、年老いた賢者は、恋は身を滅ぼす原因になると言いながらも、王女に会う手立てとして、若者の瞼に魔法の薬を塗ると、若者の体は半身が消え、半身だけが見えるようになった。若者がその姿で町に行くと、人々は珍しがり、話は王宮の王女の耳にも達した。王女は若者を王宮に召し出し、不思議な体を眺めた。こうして、若者は王女の姿を見ることができたが、恋心は更に募ってしまった。 若者が再び年老いた賢者に相談に行くと、賢者は老衰から最期の時を迎えており、若者に死んだら埋葬するように頼み、全身が透明になる魔法の薬を若者の瞼に塗ると死んでしまった。若者は老賢者を埋葬した。 若者は全身が透明なので、王宮に入り込み、王女の部屋まで行った。王女はモスリンの肌着一枚で眠っており、若者はそれをじっと眺めていたが、次第に眺めるだけでなく触りたくなり、触ると王女は大声を上げて目を覚ました。大声を聞いて王女の母と乳母がやって来て、王女から話を聞くと、誰かが隠れていないか部屋中を探した。乳母は魔神(ジン)の仕業に違いないと思い、魔神に効くという驢馬の糞を部屋のなかで燃やし、部屋に煙を充満させた。若者は煙が目にしみて、たまらず目を擦ったが、魔法の薬が次第に取れてしまい、ついに姿が見えるようになり、捕まえられてしまった。乳母は魔神だと思っていたため、あえて殺さず精神病院に若者を監禁した。 帝王マハムードと総理大臣は若者の話を聞き、若者を精神病院から解放して、その王女の屋敷まで行かせると、それは先帝の末の娘である四女のことであった。帝王マハムードは2人を結婚させ、若者を侍従に取りたてた。一同は幸せに暮らした。
※この「第三の狂人の物語」の解説は、「千夜一夜物語のあらすじ」の解説の一部です。
「第三の狂人の物語」を含む「千夜一夜物語のあらすじ」の記事については、「千夜一夜物語のあらすじ」の概要を参照ください。
- 第三の狂人の物語のページへのリンク